1994 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマレーザーによる近視性乱視に対する矯正手術後の角膜変化ついての研究
Project/Area Number |
06771545
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
曽根 隆一郎 東京医科大学, 医学部, 助手 (90206681)
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Keywords | 角膜 / 屈折矯正手術 / エキシマレーザー |
Research Abstract |
目的:近年眼科領域でエキシマレーザーを用いて近視や近視性乱視などの屈折矯正を試みる角膜屈折矯正手術がわが国でも治験段階として取り入れられてきている。スキャニングシステムを用いたエキシマレーザーMEL60による近視性乱視に対する屈折矯正手術phtorefractive astigmatic keratectomy(PRAK)は、砂時計型をしたマスクがコンピューターと連動し弱主計線側を深く、強主径線側を浅く面状にablationして矯正する。そのため両主計線間に加わるレーザーの量が異なり、角膜面では部位により異なった所見が得られる可能性がある。そこで我々は乱視矯正モードを用いて家兎角膜にablationを行い、術後の臨床変化ならびに両主径線間による切除部の組織変化について検討した。 方法:AESCULAP MEDITEC社のエキシマレーザーMEL60を用いて白色家兎に乱視矯正モードでPRAKを施行した。レーザー照射は上皮を鈍的に剥離後、球面度数-5D、円柱度数-5Dに設定し施行した。術後は経時的に細隙灯顕微鏡にて観察し、ultrapachymeterDGH2000を用いて切除部中央、両主径線における角膜厚を術後3カ月まで計測した。また光顕ならびに電顕試料を作成し両主径線間の組織学的変化を観察した。 結果:臨床的には上皮の再生や上皮下混濁(haze)の出現は両主径線間で差は見られなかった。照射後、角膜厚は2週後でも最も菲薄化し、術後2カ月で術前値に近ずいたが、術後3カ月ではさらに菲薄化傾向を認めた。照射後角膜には平滑な切除面が得られたが、弱主径線側では周辺部から深く、強主径線側では周辺部は浅くなだらかにablationされていた。術後、透過電顕ではデスメ膜に顆粒状の物質が見られたが、術後3カ月では弱主径線側に濃く、強主径線側に淡く観察された。 スキャニングモードによるPRAKは両主径線間に術後、創傷治癒過程やhazeの出現に差は見られなかったが、微細な組織変化を認めた。今後両主径線間における屈折変化や術後後期の組織変化についても検討する必要があると思われた。
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