1994 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜疾患患者におけるHLAタイプとリンパ球機能の解析
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06771656
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
久保 孝市 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20250582)
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Keywords | 口腔粘膜疾患 / 扁平苔癬 / 再発性アフタ / リンパ球 / HLAクラスII抗原 / CD23抗原 / IL-4 / インターロイキンチ |
Research Abstract |
口腔粘膜疾患の病態を解明するために、患者および健康人の末梢血を用い免疫応答の差を比較的検討した。 対象症例数は扁平苔癬15例、再発性アフタ10例、健康人10例で、方法は、患者および健康人の末梢血リンパ球にモノクローナル抗体を作用させ、フローサイトメーターで測定した。また、リンパ球をインターロイキン4存在下、非存在下に3日間培養し、その後同様に発現量を測定した。 採決直後の結果では、T・B比率で、扁平苔癬においてはBcellが健康人に比較して増加している傾向を示していた。再発性アフタではBcellが減少し、相対的にTcellが増加している傾向が認められた。CD23抗原に関しては扁平苔癬では増加、再発性アフタでは減少傾向であった。HLAクラスII抗原の発現に関しては、扁平苔癬、再発性アフタとも増加傾向であり、特に再発性アフタの方が著名であり、Tcell群にその傾向が強かった。 IL-4添加培養後の結果では、扁平苔癬においてはCD23抗原の発現が著明に増大していた。再発性アフタでは増加量は健康人より低かった。HLAクラスII抗原については、扁平苔癬、再発性アフタともに発現量が増大したが、再発性アフタの方がその増加の程度が大きく、Tリンパ球群にその傾向が強かった。 以上をまとめると、正常人、扁平苔癬患者、再発性アフタ患者において末梢血リンパ球にT・B比率の違い、およびCD23抗原、HLAクラスII抗原発現量の違いが認められ、扁平苔癬においてはBリンパ球主体の、再発性アフタにおいてはTリンパ球主体の免疫応答反応の異常が示唆された。 これらの結果は第4回口腔粘膜疾患研究会(H6・6・10大阪)および第39回日本口腔外科学会総会(H6・11・8名古屋)において発表した。今後は、患者のHLAタイピングおよび病変部粘膜の免疫組織化学研究を計画している。
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