1994 Fiscal Year Annual Research Report
抗偏性嫌気性菌剤徐放性高分子材料による高齢者根面ウ蝕予防
Project/Area Number |
06771709
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
仲又 俊夫 新潟大学, 歯学部, 助手 (20217821)
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Keywords | 根面ウ蝕 / 偏性嫌気性菌 / 抗菌性歯面塗布材 / 抗菌性修復材 / メトロニダゾール / フッ素徐放性 |
Research Abstract |
高齢化が進む現在、歯根露出に継発する根面ウ蝕の増加が憂慮されている。そこで本研究は、歯牙を切削することなく健全露出歯根面を被覆・保護して根面ウ蝕を予防する抗菌性を持つ低粘性歯質接着材料ならびに二次ウ蝕発生抑止効果を期待する抗菌性根面ウ蝕修復材料の開発を目標に計画され、検討が行なわれた。 【材料】歯垢およびウ蝕象牙質の全菌に対して確実な抗菌性を有する高分子材料を開発するため、根面被覆用の試作光重合型低粘性レジンに、歯垢およびウ蝕象牙質を構成する細菌の圧倒的多数を占める偏性嫌気性菌に対し優れた殺菌効果を有するメトロニダゾール、さらに偏性嫌気性菌以外の菌にも抗菌性を有するケフラールおびシプロフロキサシンの3種の薬剤を加えた抗菌性低粘性レジンを試作した。また、歯質接着性を有しなお、反応硬化体自体にフッ素徐放性があり周囲歯質の二次ウ蝕予防効果に有効であると考えられる光硬化型グラスアイオノマーセメント(GIC)に注目し、本セメント粉末中に抗菌剤を添加した抗菌性GICを試作した。 【細菌学的検討および物性試験】歯垢またはウ蝕象牙質より採取した細菌を接種したBHI寒天平板上に試作材料の硬化試片をおいて培養し、形成された阻止円の直径を測定することで材料の抗菌性を検討した。その結果、2つの試作材料の抗菌性は共に以前当教室で報告したメトロニダゾールのみを添加した試作高分子材料のそれに較べ優れていることが確認された。しかしながら,抗菌性レジンはレジンに抗菌剤を添加した時点から光照射までの保存期間が長くなるにしたがい、十分な光照射量にも関わらずかなりの未硬化反応部分が認められ、また一方GICは抗菌剤の添加により圧縮強度の低下と溶解性の増加が確認されるため、これら材料の臨床応用のために一層の改良を加え、根面ウ蝕予防効果の検討を行っている。
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