1994 Fiscal Year Annual Research Report
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06771735
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
川上 智史 北海道医療大学, 歯学部・歯科保存学・第II講座, 講師 (00169682)
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Keywords | X線光電子分光法 / 歯質ハイドロキシアパタイト / エナメル質生検法 / メタルストリップス |
Research Abstract |
今年度の研究においては、歯質の齲蝕感受性を評価する一手段としてx線光電子分光法(ESCA)を応用した。特にESCAの極表面の分析に高感度であるという特徴を生かして、極微量な試料で定量分析を行う簡便な方法を用いた。その方法は、歯科領域において一般的に多く使用されている研磨用ダイヤモンドメタルストリップスを試料採取に用いてエナメル質生検法に応用した。この方法は、試料採取量も極少量(0.1mg)で操作も簡単であり、短時間に多くの検体から試料採取ができる画期的なものである。ストリップスの構成元素は、ニッケル、炭素であり、歯質構成元素であるカルシウム、リン、酸素は検出されなかった。そこで、Ca/P比の分析に応用した。ヒト抜去歯のエナメル質の塊状試料とストリップス試料を比較したところほぼ一致した結果が得られ、有効であった。 通常行われているエナメル質生検法は、酸性溶液で歯質表面を溶解し、その液を回収して分析に供している。この方法では、大量の液を回収できないために、分析誤差が大きく、操作も煩雑である。しかも、結晶構造の解析ができない欠点がある。今回用いた方法によるエナメル質生検法は、分析装置は高価であることを除くとサンプリングが簡単であることなど大きな利点がある。また、ストリップスの構成元素に酸素をはじめ歯質構成元素が含まれていないことを利用して、ハイドロキシアパタイト結晶の崩壊に関与していると思われる酸素の解析にも応用できる可能性が示唆された。 以上の結果をもとに、現在投稿準備中である。
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