1994 Fiscal Year Annual Research Report
低温顕微鏡を用いたcryosurgeryの基礎的研究
Project/Area Number |
06771918
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前田 耕作 広島大学, 歯学部, 助手 (30231583)
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Keywords | cryosurgery / 低温顕微鏡 |
Research Abstract |
単層および器官培養における細胞の凍結破壊過程を低温顕微鏡で観察したところ,凍結は細胞外に始まり,細胞内外の氷晶の成長によって,細胞質は凸状に隆起し,細胞の輪郭は明瞭化した。この結果,上皮細胞では,一見細胞質全体の縮小傾向がみられたが,核には変化はないようであった。氷晶は樹枝状に伸展かつ癒合しながら成長した。-20℃前後で氷晶は大きく,-70℃前後になると細小でかつ多密化を示唆する所見が見られた。一連の所見から,細胞表面は外部からの氷晶侵入を防ぐ抵抗能力のあることを示唆する所見も得られた。線維芽細胞様細胞では,細胞質両端の突起部にまず氷晶が形成され,細胞内へ伸展する傾向の強い点は,細胞の全周から凍結していく上皮様細胞とは様相を異にする感があった。解凍直後の凍結細胞の走査電顕的所見では,細胞間の開大,断裂,表面の粗ぞう化などがみられ,また上記実験同資料のギムザ染色標本では,凍結時光顕観察では不明であった細胞間の開大,断裂細胞質の破壊断裂および網状化の痕跡が著明に観察され,また変化の比較的少ないと考えられた核にも,氷晶形成と成長過程を伺わせる一連の所見が得られた。凍結時には,観察の困難な氷晶化に伴う核の著明な膨化所見もみられ,核膜の破壊抵抗性を示す所見が認められた。以上の凍結諸様相から,細胞の凍結破壊においては,氷晶の関与が重要な因子になっていることが直視下に確認された。
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