1994 Fiscal Year Annual Research Report
superoxideによる口腔癌細胞の浸潤・転移機構の解析
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06771935
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
江上 史倫 北海道医療大学, 歯学部・口腔外科第一口座, 助手 (10185100)
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Keywords | 舌原発扁平上皮癌細胞株 / 浸潤性クローン / superoxide |
Research Abstract |
目的)癌細胞の浸潤・転移形質は癌細胞を取り囲む宿主細胞から産生される多様な因子により増強されることが推測される。そこで癌組織周囲にしばしばみられる炎症性細胞である好中球やマクロファ・ジから放出されるsuperoxideによる癌細胞の浸潤能への影響を検討した。 方法と結果)癌細胞は、ヒト舌原発巣より得られた扁平上皮癌細胞株SASを用いた。1.SAS細胞から96-well multiplateを用いた限界希釈法によりクロ・ニングを試みた結果、5株のクロ・ンが得られた。この5株を用いて、ラット肺血管内皮細胞によるin vitro浸潤アッセイを施行し浸潤性の異なるクロ・ンを分離した。分離クロ・ンから高浸潤性H1と低浸潤性L1を用いて以下の実験で用いた。2.好中球またはマクロファ・ジとの共培養を行った浸潤性の異なったクロ・ンについて、ラット肺血管内皮細胞によるin vitro浸潤アッセイを行ったところ、高浸潤性H1では内皮細胞層下への潜り込みが亢進したが、低浸潤性L1では変化が認められなかった。同様に再構成基底膜の通過能を指標としたchemoinvasionアッセイにおいても、高浸潤性H1の通過能の亢進がみられたが低浸潤性L1では変化を認められなかった。3.ヒポキサンチンとキサンチンオキシダ・ゼによるsuperoxide発生系で処理した癌細胞についても、上記と同様の結果が得られた。また、このsuperoxide発生系で処理した癌細胞の固有運動能の検討により、運動能の促進が認められた。4.そこでこの様なsuperoxide処理による浸潤形質の増強が、癌細胞内のどの様な因子によって規定されるかを検討したところ、superoxideにたいする細胞内スカベンジャ・であるCu・Zn-SOD活性が高浸潤性H1では低いためsuperoxideにより浸潤性の増強がみられ、一方低浸潤性L1ではこの活性が高くsuperoxideによる影響を消去しえることが示唆された。
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