1994 Fiscal Year Annual Research Report
顎変形症症例の下顎骨移動時における回転軸の設定に関する研究-正確な三次元的質定法-
Project/Area Number |
06771972
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
足立 守安 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (40231112)
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Keywords | 顎変形症 / 下顎骨移動 / 回転軸 / 模型計測 |
Research Abstract |
顎変形症に対する外科的矯正法は、近年広く臨床応用されている。この術式では分割部の骨接合面積が広くなることから術後の安定を得ることができた。しかし高度な下顎非対称症例や開咬を伴う症例では下顎の回転に伴い、分割した骨片同士の干渉や周囲筋の作用によって後戻りを来したり、関節頭位に大きな影響がおよぶことも危惧される。そこで本研究では術直前の顎模型を用いて三次元的な下顎の移動量を正確に計測し、外科的矯正の際の大骨片移動の回転軸を算出することを目的とした。 模型計測に際しては予め、フェイスボウを用いてフランクフルト平面を咬合器上に再現した後、術前の上下顎の歯列模型を咬合器に装着した。計測は、上顎左側中切歯の近心切縁を基準点として(三次元の座標上でx=0、y=o、z=oとなる点)、下顎左側中切歯近心切縁と左右の下顎第一大臼歯近心頬側咬頭の三次元上の座標をそれぞれマイクロマニピュレーターを用いて測定した。同様に下顎移動後の3点の三次元上の座標も正確に計測した。三次元上の3点の移動の単純な回転中心の算出をパーソナルコンピューターを使用した2つの方法を用いて試みたが下顎移動様式は三次元的に複雑なため回転中心点の算出はできなかった。方法1:立体を3方向から観察した二次元形態と仮想し、下顎左側中切歯近心切縁と左右の下顎第1大臼歯近心頬側咬頭で形成される三角形の角度差から回転中心を求めようとしたが再現性は得られなかった。方法2:三次元の座標の回転についてXYZ軸それぞれを僅かずつ変化させて偶然一致する点を求めるいわゆるループ法を用いて求めようと試みたが計算回数が多すぎるため実用的ではなかった。しかしながら模型本計測法を用いて術後の骨片上の任意の点の移動する位置を測定することは可能と思われ、骨片の干渉部位の推察や術後顔貌の予想には有用性があろう。
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