1994 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルス1型の再活性化と細胞性免疫との関連
Project/Area Number |
06771978
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小林 吉史 久留米大学, 医学部, 助手 (50215373)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス1型 / NK細胞活性 / 細胞性免疫能 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の再活性化と細胞性免疫との関連性を検討する目的で、HSV-1に対する抗体を保有する口腔悪性腫瘍手術症例6例について入院時、術当日、術後3日目、術後7日目、術後14日目に採血を行い、モノクローナル抗体を用いて、細胞性免疫能を測定(NK細胞活性、CD2,CD4,CD8,CD4/CD8 比、CD20)同時に入院時より退院時まで唾液よりHSV-1の分離を行った。その結果をHSV-1分離陽性例と陰性例との間で、細胞性免疫能を比較した。HSV-1の分離結果では、6例中1例(17%)に認められた。尚、HSV-1分離陽性例は、手術後9日目の1回認めた。NK細胞活性は、HSV-1陰性例で入院時より術当日に上昇を認め、術後3日目に最大に下降を示し、その後、上昇傾向を認めた。逆に、HSV-1陽性例では、術後3日目に最大に上昇し、その後、術後14日目に向かい下降し、逆のパターンを示した。しかし、その他の項目では、HSV-1陽性例と陰性例の間にほとんど差を認めなかったが、CD20では、HSV-1陰性例で術当日に最大に下降し、その後上昇を認めるが、術後14日目には、入院時より上昇を認めた。 今回の結果の手術後9日目に分離陽性例は、症例は少ないがHSV-1分離陽性例と陰性例の間にNK細胞活性の違いを認めた。しかも、分離陽性を認められたことから手術という外科的浸襲よりも、むしろ細胞性免疫能の低下が本ウイルスの活性化に関与したものと考えた。そこで今後、症例を増やしHSV-1の再活性化と細胞性免疫との関連性を検討したい。
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