1994 Fiscal Year Annual Research Report
摂取機能の発達が小児唾液中hEGF活性に及ぼす影響について
Project/Area Number |
06772006
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
富永 敏彦 徳島大学, 歯学部, 助手 (60243721)
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Keywords | hEGF / 離乳 / 唾液 / 乳児 / 成長発育 |
Research Abstract |
乳児期における全唾液中hEGFの増齢的変化を解明し、さらに摂食機能の発達に伴うhEGFの変化を検討する目的で、乳児34人(13W5D-47W0D)、幼児4人(54W5D-56W2D)について安静時全唾液を採取し、分析を行った。 対象群として、平成5年度科学研究費補助金による研究で得られた小児81人(13Y8M-15Y4M)、成人36人(22Y0M-39Y3M)の値を用いた。 1.乳児全唾液中hEGF,hEGF/ProteinおよびProteinはそれぞれ0.73±0.47(ng/ml),1.67±0.85(ng/mg),0.45±0.21(mg/ml)であり,小児値1.67±0.92(ng/ml),2.26±1.08(ng/mg),0.77±0.36(mg/ml),成人値2.53±1.44(ng/ml),3.59±2.06(ng/mg),0.76±0.38(mg/ml)に比べて有意に(p<0.05,p<0.001)低値を示した。特に,hEGF/Proteinは乳児期にかなり低値を示し,3歳時頃に増加した後,学童期に再度低下し,思春期頃から増加していくといった2峰性の変化を示すことが判明した。また、乳児期内では増齢的に著変は認められなかった。 咀嚼発達段階を哺乳期、離乳初期、中期、後期、完了期に分類しhEGFについて検索したところ、全唾液中hEGF,hEGF/Proteinは離乳中期以降では離乳初期までと比較して高値を示していた。さらに離乳完了期以降において再度増加が認められた。それに反して、Proteinでは離乳による影響は認められず、乳児期において比較的安定した値を示していた。 以上の結果より、唾液腺の形態的、機能的に未成熟な乳児期においては、生後5-6カ月頃までは全唾液中hEGFは低濃度を呈しているが、離乳の開始により唾液腺の発達が刺激され、全唾液中Protein濃度には変化が認められないものの、唾液Protein中のhEGF濃度が増加すると考えられる。
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