1994 Fiscal Year Annual Research Report
実験的歯の移動時に出現する硝子様変性組織の吸収に関する細胞化学的研究
Project/Area Number |
06772023
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
森岡 尚 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80254796)
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Keywords | 破骨細胞 / 破骨細胞 / 多核巨細胞 / 硝子様変性 / microperoxidase |
Research Abstract |
比較的長期間矯正力を加えた歯根、歯槽骨および歯根膜における破歯細胞と破骨細胞、さらには硝子様変性を吸収すると言われている多核巨細胞の動態、および吸収機能を比較検討した。 実験方法:実験には10-12週齢のラットを用い、Waldo法により12日間の歯の移動を行った。歯の移動後、歯根、歯槽骨および変性組織の吸収かに特異的に沈着するペプタイドトレーサーmicroperoxidase(以下MPと略す)を用いた。ラット一匹当たり50mgのMP(Sigma社製)を投与した。投与3時間後に屠殺し、M1とM2を含めた上顎骨を採取し、直ちに2%アルデヒド+2,5%グルタールアルデヒド固定液で固定した。次にカコジル酸緩衝液で洗浄し、EDTA溶液にて脱灰を行った。その後、DAB反応を行った。次いでオスミウム酸による後固定を行い、エタノール系列による脱水後、Spurreponに包埋した。観察は、光学顕微鏡と電子顕微鏡で行った。光顕用切片には、トルイジンブルー染色を施し、電顕用切片は、無染色で観察した。 実験結果および考察;圧迫側歯根膜においては変性組織の周辺を中心に、破歯細胞および破骨細胞と変性組織を吸収している多核巨細胞が数多く観察された。移動7日目でゴム片を厚いものに入れ直した結果、矯正力が長時間にわたって持続したためこれらの細胞の出現頻度も高くなったと思われる。特に破骨細胞が多く、ついで破歯細胞が多く変性組織を吸収している多核巨細胞は少なかった。変性組織に近接する破骨細胞、破歯細胞を観察すると、変性組織にまで拡大した細胞が認められた。これらの細胞が接している歯根、歯槽骨、変性組織の吸収かにはMPが沈着し、細胞の空胞内にはMPが取り込まれており、吸収の進行が認められた。これらの細胞は形態的に同種の細胞であることが推測された。今後はこれらの細胞の消長について検討する予定である。
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