1994 Fiscal Year Annual Research Report
交通安全装置の有効性に関する日米比較研究 -シートベルトとエアバックとを中心に-
Project/Area Number |
06772198
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
DOOSUB J. Jahng 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (70226356)
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Keywords | 交通安全装置 / シートベルト / エアバック |
Research Abstract |
日本の道路交通事故の特徴の一つとして、いわゆる欧米型の乗車中死者が近年増加しており、そのため車の中にいる人を保護する安全装置の開発が進められてきている。アメリカの場合は、ドア-を開くと自動的にシートベルトが解放され、ドア-を閉めるとシートベルトが肩の方にくるような自動シートベルトが考案され米国に輸出するほとんどの日本車にもこの自動シートベルトは採用されている。この自動式と受動式のシートベルトを日米で比較してみると、アメリカでは自動式シートベルトが設置されている車両が多い反面、日本ではほとんどみかけることは出来ない。近年、数多くの自動車メーカーが使用しているエアバックはの長所としては、特に女性の場合、顔面の損傷を防ぐという美容面での効果などが言われている。シートベルトと比べれば、車の利用者の快適さを損なわないで、安全を確保できるという点で、次世代の安全装置としての可能性を潜めていると思われる。しかし、エアバックはまだ高価であること、健康影響に未知の部分が多い。また、シートベルトとエアバックの両装置は二つ併せて初めて高い安全性を確保するもので、どちらかに偏ってはその安全性を得ることはできないという問題がある。 一方、カナダの全国調査結果が裏付けるように、車の購入者にもっとも関心がある部分は車の販売価格であり、例え安全装置が今までと比べてその優先順位をあげてきたとしても、国の法律的な援護なしに車の安全装置の普及は望めない。法律的に定められた受動式のシートベルトの高い普及率を考慮すれば、エアバックを始めとする比較的新しく実用可能な安全装置に対する政策的な配慮の普及率に及ぼす影響は大きいと思われる。その意志決定のための基本資料として、安全装置に対する利用者のニーズ、開発費用及び販売価格、現在の普及率などの状況、そして健康状態についての研究が早急に求められよう。
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