1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780016
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
滝沢 智壽 昭和女子大学, 生活科学部, 助手 (10245904)
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Keywords | 脱スケール羊毛繊維 / 固定化ウレアーゼ / 前処理 / 至適作用pH / 至適作用温度 / pH安定性 / 熱安定性 / 繰り返し使用における安定性 |
Research Abstract |
本研究では羊毛繊維の高機能化を最終目的として、羊毛繊維を前処理し、得られた処理羊毛繊維へのウレアーゼの固定化を試み、その活性度を比較検討した。前処理は、羊毛繊維を(1)脱スケール処理:ギ酸処理と超音波処理を組合わせた。(2)部分加水分解:1Nおよび6Nの塩酸で50℃で1〜72時間振とうした。(3)還元処理:1M 2-メルカプトエタノール水溶液中で40℃で1〜6時間振とうした。(4)脱スケール+部分加水分解処理および(5)脱スケール+還元処理を行った。(1)〜(5)の前処理後、試料を1〜2mmに切断し、固定化に用いた。ウレアーゼの固定化は2.5%グルタルアルデヒドを用いた。活性度の測定は、試料と尿素を反応させ、生成したアンモニアの比色定量によって行った。1.前処理の検討:脱スケール羊毛を担体とした固定化ウレアーゼの活性度は、未処理羊毛の約2〜3倍の活性を示した。次いで、部分加水分解処理羊毛の活性度が高かったが、還元処理羊毛は処理の効果が認められなかった。処理の組合せも試みたが、複数の処理による相乗効果は認められなかった。次に、最も活性の高い脱スケール羊毛を担体とする固定化ウレアーゼの諸性質について検討した。2.脱スケール羊毛を担体とした固定化ウレアーゼの諸性質:(1)至適作用pH: 遊離ウレアーゼと同様にpH6.5であったが、遊離ウレアーゼよりpHの影響を受けにくかった。(2)至適作用温度: 60℃で遊離ウレアーゼよりわずかに低いが、全般に温度の影響を受けにくかった。(3)pH安定性: 遊離ウレアーゼに比べ、酸性側での活性が安定していた。(4)熱安定性: 活性は37℃から徐々に低下したが、80℃でも約56%の相対活性を保持しており、遊離ウレアーゼより著しく安定性が高かった。(5)繰り返し使用における安定性: 活性は7日目で初めての73%、54日目で72%、100日目で50%を維持しており、充分繰り返しの使用に耐えうると考えられる。
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