1994 Fiscal Year Annual Research Report
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06780110
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Research Institution | Asahikawa University Women's Junior College |
Principal Investigator |
坂田 知子 旭川大学女子短期大学部, その他部局等, 講師 (20258750)
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Keywords | 乳児 / 皮下脂肪厚 / 筋肉厚 / 運動発達段階 / 筋断面積に対する皮下脂肪断面積の比率 |
Research Abstract |
本研究では,「首がすわっていない」から「ハイハイをやめる」までの乳児期にみられる運動発達を13段階に設定し、その発達段階ごとに皮下脂肪厚と筋肉厚の発育特性を明らかにすることによって、それらが形態発育の指標となるか否かについて検討することを目的とした。 対象は、北海道上川郡東川町および神奈川県横浜市に在住の乳幼児505名(男児243名、女児262名)とした。出生時の身長、体重、頭囲、胸囲、授乳の様子、測定時の運動発達段階を主とした調査票を作成し、母親を対象に質問紙調査を実施した。測定項目は、身長、体重、頭囲、胸囲、上腕囲、大腿囲、皮下脂肪厚、筋肉厚とした。皮下脂肪厚および筋肉厚は、超音波皮下脂肪厚計を用いて、上腕前部、上腕後部、大腿前部、大腿後部の4部位を測定した。周径囲、皮下脂肪厚および筋肉厚から測定部位の断面積を推定し、さらに、推定した筋断面積に対する皮下脂肪断面積の比率を算出した。 上腕部では、発達段階が進んでも総推定断面積は、ほとんど変化していなかった。しかし、皮下脂肪断面積と筋断面積に分けてその変動を観察すると、発達段階が進むにつれて皮下脂肪断面積は、小さくなる傾向を示す一方、筋断面積では、発達段階が進むと大きくなる傾向をそれぞれ示した。この結果、筋断面積に対する皮下脂肪断面積の比率は、発達段階が進むと発達段階1「首がすわっていない」3.0±1.8から発達段階13「ハイハイをやめる」1.2±0.3というようにその値は小さくなった。 一方、大腿部においても、上腕部と同様、総推定断面積は、発達段階が進んでもほとんど変化しなかった。しかし、筋断面積に対する皮下脂肪断面積の比率では、発達段階1では1.9±0.9、発達段階13では0.9±0.3と上腕部に比べて筋断面積の占める割合が大きいことが確認された。特に、直立二足歩行を開始している発達段階12「ひとりで歩く」と発達段階13「ハイハイをやめる」では、その比率が1以下となり、筋断面積に対する皮下脂肪断面積の比率が直立二足歩行獲得のひとつの形態発育の指標となると示唆された。
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