1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780111
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
郷司 文男 宮城学院女子短期大学, 保育科, 講師 (10234965)
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Keywords | 幼児 / 空間認知 / 性差 / 信頼性 / 客観性 / 練習効果 |
Research Abstract |
行動と環境認知は密接な関係があり、正確な環境の認知に基づく動作の修正によって的確な行動が可能となる。本研究は、空間認知能力の発達と運動能力の関係を明らかにする上で、先ず、空間認知能力の測定方法の開発を目的とし、足元に置いた的にビ-玉をどの程度正確に落とすことができるかによって空間認知能力を測定しようと試みた。このテストを、4.9歳から5.8歳の幼児55名を対象に、前方と側方に肩と腰の高さから、及び後方に肩の高さからそれぞれ5試行づつ実施した。その結果、以下の点が明らかにされた。(1)信頼性と客観性:同一検者について、実際に計測した値とビデオの再生画面より読み取った値との相関係数及び平均値の差異の検定を行った結果、相関係数は0.826〜0.996の非常に高い有意な値を示し、平均値についても有意な差異は認められなかったことから、信頼性は高いと考えられた。2名の検者間における計測値の相関係数は0.965〜0.996の非常に高い値を示し、客観性についても非常に高いと考えられた。(2)練習効果の有無:女児において、前方に肩の高さから落とした場合のみに1回目と2回目の結果がやや悪い傾向を示したが、それ以外では5試行間の結果に有意差は認められず、練習効果は殆どないと考えられた。(3)利手と非利手の差異:利手と非利手の間に有意差はなく、測定値に技術的要因は殆ど含まれないと考えられた。(4)空間認知能力の特性:落下方向(前、側、後)間の差異を検定した結果、女児は、身体の側方及び後方よりも前方にある物体との距離をより正確に認知していると考えられた。男児については、落下方向間に有意差は認められなかった。また、情報の有無の差異、つまり、開眼と閉眼の差異について検討した結果、男女児とも閉眼よりも開眼の方が物体との距離をより正確に認知しており、連続的な視覚情報は正確な行動において有効な手段と成りうることが明らかにされた。
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