Research Abstract |
本研究では,まず,コンピュータを利用した疑似体験のために料理情報を文字,数値,画像,音声に分割し,それぞれを結合できるデータベースモデルを作成した。このデータベースを利用した実験を行った結果から,画像と音声データベースについて次のような結果が観察された。 画像データベースについて,静止画では,実際の実習に効果があることを観察できたが,動画についてはコンピュータとCD-ROMを用いた場合とVTRを用いた場合とで差異が観察された。現状ではVTRを用いることが望ましい状態であった。音声データベースについては,興味を持たせることに効果があったが,実際の実習への効果はほとんど見られなかった。 現在,コンピュータを中心としたマルチメディア環境が注目されているが,現状ではCD-ROMを中心としたリアルタイムで,静止画,動画,音声,文字データを同一で扱う環境よりも検索等に時間を要してもコンピュータによる文字,数値,VTRによる動画,CD-ROMによる音声,静止画を扱う環境の方が実際の調理実習には効果があった。 実体験と疑似体験による専門教育への影響は,実体験が時間的制約を大きく受けるのに対して,疑似体験はあらかじめシミュレーションを何度も行える(フリィクエンシィ効果)ことから,知識に及ぼす効果が大きく現れた。逆に実習の細かな点については,実体験に効果が顕著であった。また,疑似体験においては,提示するデータの種類によって実体験に及ぼす効果が大きく異なり,疑似体験の視覚化の重要性を観察できた。 今後は,研究成果を公表していくとともに,マルチメディア環境のもとでの疑似体験の視覚化の有効な教育への適用方法の探索を計画している。
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