1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞微小管における神経線維と微小管関連蛋白の結合
Project/Area Number |
06780587
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮坂 洋 順天堂大学, 医学部, 助手 (40260905)
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Keywords | 微小管関連蛋白 / ニューロフィラメント / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
ブタ脳より精製したチュブリン蛋白をtaxol存在下で重合し微小管を形成させ、ウシ脊髄より精製しアルカリフォスファターゼ処理にて脱リン酸化したニューロフィラメントHサブユニット(NF-H)と、ブタ脳より精製した微小管関連蛋白2(MAP2)を、その微小管とインキュベーションし結合させた後、共沈実験を行った。共沈の遠心条件は、微小管及びそれに結合した蛋白は沈殿になるが、遊離のNF-HまたはMAP2は上清に残る強さとした。遠心後の沈殿の蛋白量を、SDS-PAGE上のチュブリン蛋白、NF-H、及びMAP2のバンドをdensitometerにより測定し、チュブリン蛋白のバンドの値をもとに補正して比較した。微小管へNF-H及びMAP2を同時に結合させた場合、結合したNF-Hはチュブリン蛋白を100として9.2、同じくMAP2は6.3であった。微小管へNF-Hのみを結合させた場合は、結合したNF-Hは10.9となった。また、MAP2のみを結合させた場合は、結合したMAP2は6.8となった。この結果よりNF-HとMAP2の微小管上の結合は部分的に競合すると考えられ、結合部位は隣接して存在するか、あるいは一部重なっているものと思われた。しかし、MAP2、NF-Hともその分子形態は線維状の蛋白であり、線維状に伸びた部分により、機械的に他の蛋白の結合が阻害される可能性があり、MAP2あるいはNF-Hの微小管結合部位のみを用いた実験を行う必要がある。この点については、酵素による切断で作製したMAP2の微小管結合部位のフラグメントはニューロフィラメント蛋白と結合することが知られており、微小管へNF-HとMAP2の微小管結合フラグメントを加え共沈実験を行う場合、NF-HとMAP2のフラグメントが結合し沈殿となることが考えられる。今後これらの点を解決する必要があると思われるが、一つの案としては、NF-Hをキモトリプシンでtail domainを残し切断して用いてみる事などが考えられる。
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