1994 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝胚極葉に局在する細胞分化決定因子のモノクローナル抗体を用いた解析
Project/Area Number |
06780613
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
出野 卓也 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (40188701)
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Keywords | 細胞分化決定因子 / モノクローナル抗体 / 軟体動物 / 初期発生 / 極葉 / 細胞質局在現象 / F-アクチン |
Research Abstract |
本研究では、マガキとムラサキイガイの卵や胚を抗原にしたモノクローナル抗体を作成することを目的としていたが、昨夏、採集してきたマガキがほとんど卵を持っておらず、持っていても正常に発生しなかったので抗原を集められなかった。また、ムラサキイガイもこれまで採集してきた大部分の地域で親貝がほとんど全滅した。これは昨夏の猛暑で海水温が上昇したためと思われる。さらに震災以降、大阪湾の神戸側や明石で見つけてあった生息地での採集が無理になった。かろうじて採集できたムラサキイガイから得た卵と胚を抗原に免疫を行い、3月半ばにようやく細胞融合にこぎつけたが、スクリーニングはこれからなので、報告できる結果は残念ながらまだ得られていない。 一方、マウスに免疫している間に、得られたムラサキイガイ卵の一部を用いて、NBD-ファラシジンにより極葉形成前後のF-アクチンの分布を調べたところ、未受精卵では卵表層全体に均一に分布しているF-アクチンが、受精後、第一極体放出までに卵の植物極表層に局在するようになり、それは極葉形成が始まるまで持続することが判明した。極葉形成中にはこの局在は消失するが、細胞質分裂が終わって極葉がCD割球に吸収されると、CD割球の植物極表層に再びF-actinの局在が現れた。しかし第二極葉が形成される際にこの局在は消失し、その後D割球の植物極等には再び現れなかった。これまでのところ軟体動物卵において、このようなF-アクチンの植物極表層への局在は報告されていない。 このような発生に伴って変化するF-アクチン細胞骨格の局在は細胞分化決定因子の局在と極めて密接な関係を持っていることが予想され、この局在に対応するモノクローナル抗体のクローニングが期待される。また、卵よりアクチンを抽出し、それに対するモノクローナル抗体を作成して切片によるアクチン構造の解析を行いたい。
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