1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780617
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
柳 明 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (00202367)
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Keywords | ゾウリムシ / 接合 / 栄養核 / 生殖核 / 分化機構 / モノクローナル抗体 / RAPD法 / PCR |
Research Abstract |
ゾウリムシの栄養核と生殖核(それぞれ、機能的に多細胞動物の体細胞と生殖細胞とに相当する)の分化機構を明らかにするために、モノクローナル抗体などを使って栄養核と生殖核との違いを分子レベルで調べている。まず、生殖核と栄養核に対する新たなモノクローナル抗体の作製を試みた。抗原としては、細胞のホモジェネイトを使い、蛍光抗体法により抗体のスクリーニングを行った。しかし、生殖核あるいは栄養核の抗原に対する抗体は得られなかった。そこで、より純粋な抗原を得るために、遠心分離法とNuclepore membrane filterでのろ過により生殖核と栄養核の分離を試みた。栄養核の単離には成功したが、生殖核についてはまだ適当な条件が見つかっていない。生殖核と栄養核とが単離できれば、生殖核あるいは栄養核の抗原に対する抗体の作製や今までにつくったモノクローナル抗体が反応する核の抗原の精製が容易になると考えている。 次に、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法を使って栄養核と生殖核とのDNAレベルでの違いを調べた。まず、生殖核を持っている普通の細胞と顕微操作により生殖核を取り除いた細胞とからDNAを抽出し,それらのDNAを鋳型にして適当なプライマーを使ってPCRによりDNAを増幅した。そして、生殖核を持っている細胞と生殖核の無い細胞とで増幅したDNAに違いが有るかどうかを調べたが、大きな違いは見られなかった。今後、さらにプライマーの種類を増やして、増幅するDNAの違いを見つけたい。 さらに、本題とは直接関係ないが、ゾウリムシの接合を化学的に誘導する新たな方法を開発した。この方法は、ゾウリムシをメチルセルロースで処理するだけで簡単かつ高率に接合を誘導できるので、遺伝学的な仕事に役立つと思われる。
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