1994 Fiscal Year Annual Research Report
成体ラット中枢神経系の発芽およびシナプス形成の物質的基礎に関する研究
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06780641
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村瀬 真一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60210035)
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Keywords | 発芽 / 苔状線維 / 登上線維 / プルキンエ細胞 / インテグリン / 小脳 / 三叉神経中脳路核 / シナプス |
Research Abstract |
成体ラットにおいて、小脳皮質への求心線維の一つである登上線維を変性させると、他の求心線維である苔上線維が分子層に向かって発芽し、異所性シナプスを形成する(Murase,1995 印刷中)。この発芽現象の物質的基盤を解明するために、成長円錐に発現する分子を免疫組織化学的に検索したところ、インテグリンβ1鎖の発現が小脳プルキンエ細胞に見られた。インテグリンβ1鎖の発現と小脳求心線維の関連を検討するために、出生後のラット脳を免疫組織化学的に検討した。生後6日に虫部後葉プルキンエ細胞に陽性反応が出現し、その後陽性反応は虫部前葉と半球に徐々に拡がり生後12日には全てのプルキンエ細胞がインテグリンβ1陽性となった。しかし、その後の発達につれて、一部のプルキンエ細胞はインテグリンβ1陰性となり、成体ではインテグリンβ1陽性領域は、小脳の矢状方向にのびる複数の帯状構造を呈した。このようにプルキンエ細胞ではβ1鎖の発現様式の変化が樹状突起形成期において著しいので、小脳求心線維のシナプス発達との関連が予想された。しかし、3-アセチルピリジン投与による下オリーブ核破壊あるいは小脳脚切断により、上述した出生後のインテグリンβ1鎖の発現様式には変化がみられなかった。従って、インテグリンβ1鎖の発現様式の変化は小脳求心線維の発達とは関係なく、プルキンエ細胞自身の内在的な要素により決定されると予想された。また、生後0-8日の三叉神経中脳路核の細胞体棘においてβ1鎖の発現が観察されたが、この発現は生後9日以後はほぼ消失した。このインテグリンβ1鎖の小脳と三叉神経中脳路核における発現および生後発達における変化は、研究代表者が初めて見い出した現象である(投稿中)。今後は、小脳ミュータントマウスにおけるβ1鎖の発現や、in situ hybridization法によりβ1鎖mRNAの局在と発現を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shin-ichi Murase: "Climbing fiber destruction triggers mossy fiber sprouting inadult rat cerebellum" Neuroreport. 6. (1995)
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[Publications] Shin-ichi Murase: "Axonal elongation of grafted,embryonic inferior olivary neurons in the adult rat cerebellum and their synaptic formation on host Purkinje cells" Acta Anatomica Nipponica. 70. (1995)