1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06780742
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 秀美 (財)神奈川科学技術アカデミー, 研究員 (90233311)
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Keywords | 細胞認識 / 計算化学 / 分子力学 / 分子軌道法 / グルコース / ガラクトース / PVLA / PVMA |
Research Abstract |
当研究室で開発されたラクトース含有スチレンポリマー、PVLAは、肝細胞を特異的に認識し、高い細胞接着能を有し、細胞の分化/増殖機能制御可能である。また、ラクトースをマルトースに置き換えたPVMAは、極端に認識/接着能力が劣る。PVLAとPVMAは末端の糖の水酸基の向きと、糖の結合様式(PVLAはβ 1→4、PVMAはα 1→4)以外に構造式上の違いはない。そこでPVLAとPVMAの各モノマーについて気相におけるグローバルミニマムエネルギー構造を、計算化学の手法を用いて予測し,これら認識の違いの要因について考察した。今回行なった計算方法は、Amber/Homansの力場を用いて粗いエネルギー計算を行い候補を絞り、半経験的分子軌道法であるPM3法を用いて精密化を行なうというものだ。 最終的に得られたVLAの最安定構造は、末端のガラクトースのCH基側とベンゼン環が向かい合うように、開環したグルコースのから折れ曲がった構造をとっており疎水的な空間を呈している。また2〜3個の分子内水素結合により構造を安定化していることが認められた。一方VMAでは、末端のグルコースがVLAに比較して、離れており、かなり露出した構造をとっている。VMAもVLAと同様に数個の分子内水素結合が認められた。構造的には末端の糖とベンゼン環の位置関係において、大きく異なっており、これは、糖の結合様式の相違と、グルコースの開環によって増加した自由度に基づくものと考えられる。末端の糖が、一方は水酸基側だけを露出した構造をとり、一方は全体が露出した構造をとっていることは、興味深い。レセプターによるVLA、VMAの認識メカニズムは、基質の末端糖を識別しやすい構造になっていることから、特異的な認識が行われていると考えられる。
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Research Products
(1 results)