1995 Fiscal Year Annual Research Report
道徳的価値の認知における発達に関する倫理的実在論の視角からの検討
Project/Area Number |
06801006
|
Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
神崎 繁 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20153025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 克己 東京都立大学, 人文学部, 助手 (00254128)
丹治 信春 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20112469)
岡田 紀子 東京都立大学, 人文学部, 教授 (20083199)
伊吹 雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (70102184)
|
Keywords | 倫理的実在論 / 価値の認知 / 発達 |
Research Abstract |
平成7年度は、本研究課題に基づく研究の最終年度にあたるので、その研究成果を纏める意味でも、古代から現代までの道徳的価値をめぐる様々な立場の歴史的再検討と、現代的視角からの原理的研究の双方にわたって、研究分担者の各自の領域に関して研究を行い、その成果を発表してきた。 古代に関して神崎は、特にアリストテレスにおける生命の原理としての「魂」概念との関係において、しばしばその生物学的・自然主義的価値理解が問題とされる点を整理し、価値認識がむしろ習慣的な「第二の自然」としての性格を持つ点を確認した。伊吹は、新約聖書における「アガペ-(愛)」の概念を分析して、その価値の志向的性格を明確にした。また樋口は、ニーチェにおける「テンペラメント(気質)」の概念に注目して、ヨーロッパの既成の価値概念の転倒を主張するニーチェの真意を明らかにする作業を行った。岡田は、ハイデガ-における価値哲学批判の意義を、以上の歴史的考察の背景において位置付ける考察を行った。そして丹治は、最近公刊された著書において、言語の共有ということの意義を検討することを通して、全体主義的原語観における価値の問題の位置付けに関する原理的考察の端緒を開いた。また、神崎は研究総括者として、そのような原理的研究において、所謂自然主義的立場の可能性に関して、丹治の立場を批判的に検討することによって、議論を深めることができた。また、以上の研究成果の一部を、報告書として公表すべく、その準備作業を行った。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 神崎繁: "〈他のように考え/行為し/生きる〉ために、意志によってではなく、注視によって" 季刊iichiko. 36. 57-60 (1995)
-
[Publications] 神崎繁: "「魂の部分」をめぐって-アリストテレス『デ・アニマ』の構想" 思索(東北大学哲学研究会編). 28. 35-66 (1995)
-
[Publications] 神崎繁: "二つの書物をめぐって-松本雄二『知と不知』・岡部勉『行為と価値の哲学』への応答-" 人文学報(東京都立大学人文学部紀要). 267. 45-88 (1996)
-
[Publications] 伊吹雄: "Das Hohe Lied der Agape III(schluβ)-Uber I Kor13,4〜7-" 人文学報. 267. 1-22 (1996)
-
[Publications] 岡田紀子: "“Mit der Sprache eine Erfahrung zu machen"" 人文学報. 267. 23-40 (1996)
-
[Publications] 樋口克己: "ペンシミズムの変容の開始-ニーチェにおける「気質」を巡って-" 哲学誌(東京都立大学哲学会編). 38. 1-20 (1996)
-
[Publications] 丹治信春: "言語と認識のダイナミズム" 勁草書房, 362 (1996)