1996 Fiscal Year Annual Research Report
意志決定パターンの変化による信頼の形成・崩壊過程の実証的研究
Project/Area Number |
06801016
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石井 徹 島根大学, 法文学部, 助教授 (40193255)
|
Keywords | 意志決定 / decision-making / 信頼 / trust / 迷路 / コンピュータ・グラフィクス / 緊急事態 |
Research Abstract |
平成8年度は、平成7年度および平成6年度同様、実験による資料収集とその基礎解析、および全体的分析を行った。被験者総数は132名(6年度49名、7年度45名、8年度38名)。実験は32ビット・パーソナル・コンピューターのディスプレイ上に展開する仮想迷路からの脱出を課題として行った。全部で5回の試行で使用する迷路はどれもデパートのワン・フロアを模した二次元のもの。迷路に入り込んだ被験者の視点から見えるはずの景色が、ディスプレイ上に立体的にワイヤー・フレームで表示され、被験者の反応に応じて変化する。迷路内での被験者の反応は、反応時間(秒単位)や付加データとともにすべてテキスト・ファイル上に記録した。特に第5試行(制限時間5分)の反応傾向を次の二つの観点から考察するために、すなわち(1)第5試行においても繰り返される相棒のアドバイスへの対応の違いを見るために、(2)第1から第3試行のデータから描き出した基礎的な反応傾向との差異を中心に反応傾向全般の変化を見るために、被験者ごとに、さらに試行ごとに脱出の成否、平均反応時間、平均停滞時間、通過セル種など9種類の指標を抽出し記録した。第4試行と第5試行ではさらに相棒からのアドバイスへの対応について11種類の指標を抽出、合計20種類を記録した。 当初に計画した研究目的、研究計画のうち平成6年度分および平成7年度分については予定通り達成したと考える。すなわち研究経過の項で述べたように、当初に計画した通り80名の被験者から有効なデータを得た。しかし平成7年度までの被験者の中で、理論的には8種に均等に分類されるはずの度数が不揃いな分布を示したため、最小度数の反応タイプが少しでも度数を増やし比較可能な対象になることを期待して、さらに38名の被験者を募った。そして平成6年度と平成7年度と同様に基礎的な分析を行った後、第4試行で3回の火災遭遇によって強制終了になった被験者で、かつ第4試行の初回の火災遭遇がアドバイスに従った結果である98名を中心に全体的な分析を行った。特に第5試行の後半では、第4試行の轍を踏む傾向が見いだせたと考える。
|