1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06804052
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
寺門 潔 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40008834)
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Keywords | 原索動物 / ホヤ / 神経複合体 / 神経分泌細胞 / 下垂体ホルモン様物質 / 免疫染色 |
Research Abstract |
今年度もアカボヤおよびマボヤを材料(合計で約500キログラム)とし、免疫組織化学用、電顕観察用、モノクローナル抗体作製用およびRNA抽出試料を作成または採取し、保存した。今年度の新たな成果として、(1)生殖腺刺激ホルモンIIβ型(GTH II β)またはそれに相当すると考えられるGTHに対する抗体で免疫染色される細胞もまた背索に沿って多数存在することが明らかとなった。これはまた、これまでに明らかにされている生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)様物質の存在と併せ、脊椎動物にみられる視床下部-下垂体-生殖腺系と同様の系が原索動物にも存在することを十分に予測させるものである。(2)ホヤの神経複合体におけるACTH様物質の存在については研究結果がまちまちであったが、合成ヤツメウナギACTH(1-16)に対する抗体を用いて免疫染色すると、やはり背索に沿って散在する細胞の一部が陽性反応を示した。高等脊椎動物ACTHに対する抗体では陰性なので、ホヤのACTHは下等脊椎動物型の分子構造をもつことが考えられた。(3)カエルのPRL抗体で免疫染色される細胞群が神経節および背索にあることはすでに報告したが、電顕レベルの免疫染色により、PRL様物質が径約100-250nmの電子密度の高い顆粒に含まれていることが判明し、PRL産生細胞が同定できた。(4)再度、アカボヤの背索をPotassium処理してexocytosisを促し、その濾液でBALB/Cマウスを免疫し、背索に沿って散在する細胞を特異的に染色するモノクローナル抗体を得た。 抗体も十分に得られ、ハイブリドーマも保存し、ホルモン遺伝子のクローニングに見えた。(5)マボヤ神経複合体のアセトン抽出物をゲル電気泳動し、カエルPRL抗体で染色したところ、2-3本のバンドが得られた。 以上の結果は、我々の仮説--背索に散在する細胞群は下垂体の系統的起源に関る細胞群である--を更に前進させるものである。
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