1995 Fiscal Year Annual Research Report
高令居住者を対象とした分譲共同住宅の修繕・改善・建替え手法の新開発
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06805055
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Research Institution | Otani Joshi Tankidaigaku |
Principal Investigator |
藤本 佳子 大谷女子短期大学, 家政学科, 教授 (30123540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 昌子 関西大学, 工学部・建築学科, 助手
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Keywords | 居住者 / 高令者 / 区分所有者 / 修繕 / 建替え / 改善 / 大規模修繕 / 分譲共同住宅 |
Research Abstract |
目的 1995年1月17日に起こった兵庫県南部沖地震による、中高層分譲共同住宅(以後マンションと称す)の居住者の修繕・建替え等に対する意識変化を明らかにする。 方法 1995年12月に大阪府・京都府のマンション計3ヶ所を対象に聞き取り調査を実施した。調査内容は、理事長・管理人(計5名)には建物の被害状況と修繕内容、60歳以上の区分所有者(計27名)にはマンション生活に対する修繕・建替え等への参加意識である。 結果 (1)3マンションの共通点は、地震直後に管理人・理事長が建物の損傷部位の確認を行ったことと、震災後2・3日中に室内の点検を実施したことである。建物設備等の被害状況は、事例A・Bでは外壁の亀裂、エレベータ-の故障、水道管のひび割れ、事例Cでは外壁の亀裂と地中埋設管のガス漏れが起きていた。(2)60歳以上の区分所有者はマンションに「満足である」が全体で21人(78%)と多く、その理由は「立地条件の良さ」21件(58%)や「管理の良さ」7件(19%)を挙げている。(3)建替えに対する参加意識について「積極的に参加」が15人(56%)と多く、理由は「永住するつもり」が6件(25%)、他には「子どもたちのため」や「設備面で不安がある」を挙げている。(4)より良いマンション生活については、多くが「近所、特に独り暮らしの人への気づかい」、「礼儀をわきまえること」を60歳以上の調査対象者は、大切に思っている。地震により、隣人関係が希薄であった従来の生活から、隣人関係を強めて仲間意識を持とうとする生活に変化しつつあるといえる。 被災マンションにおいて復興が進まない現在、調査対象マンションでは、日頃からの良好なコミニュニティーゆえに、緊急時のすばやい対応を生んだといえよう。
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