1996 Fiscal Year Annual Research Report
居住形態が要因となる住宅の空間構成に関する史的研究
Project/Area Number |
06805057
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 賢次 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50171210)
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Keywords | 城郭都市 / 中国 / 宛平城 / 集住形態 / 街区 / 四合院 / 塀 |
Research Abstract |
主に中国の城郭都市を対象に集住形態の構成方法に関する文献・資料の収集を行った。また、北京市の南西、宛平城(旧・宛平県の県城、現在・北京市豊台区)においてフィールド・ワークを実施し、城壁内の街路・路地と宅地との関係について調査・研究を進めた。さらに、これまでの日本・西洋の場合についても、資料の補足と分析を進め、事例研究の総括に取り組んだ。 宛平城は、当初、軍隊の駐屯地であったが、後に県城となり、城郭都市として整備された。第2次大戦の際には城壁等で大きな被害を受けたが、その後、修復されている。県城のなかでは小規模な部類に属していて、東西に城門が設けられ、それを広い道路が結んで中心軸となり、その両側に街区が構成されている。城壁内の住宅は塀で囲まれた宅地に中庭を囲んで建物が建つ、いわゆる四合院形式によっている。それが中心軸の道路沿いと、それに通じる小道沿いに、門を配して並んでいるのである。小道は北京城で胡同と呼ばれるものと同じであり、日本でいえば路地に相当すると考えられる。街区の規模は大きく、各街区内には胡洞が迷路状に走るのであるが、宅地を取り囲む塀が連続、集合することで、街区としてのまとまりを形成していることは重要であろう。 これまでの事例研究によって、都市・集落の居住形態における空間構成として、建物の外壁や塀の特性が重要であることは明らかである。現段階では、まだ研究の事例数が少ないが、集住形態に見られる構成方法の史的展開について国際的な視野から比較検討の道が開けた。
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Research Products
(1 results)