1994 Fiscal Year Annual Research Report
毛状根からの再生植物におけるアグロバクテリウム属細菌に対する再感染阻害機構の解析
Project/Area Number |
06806010
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
真野 佳博 東海大学, 開発工学部, 助教授 (20219538)
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Keywords | 毛状根 / Agrobacterium / Riプラスミド / T-DNA / 形質転換 / 遺伝子発現 / 免疫応答様機構 / 植物分子生物学 |
Research Abstract |
タバコの培養細胞や葉切片にAgrobacterium rhizogenesを感染させて、RiプラスミドのT-DNAを導入し、植物ホルモン無添加培地で生育できる細胞(毛状根細胞)や毛状根を選抜した。遺伝的に均一な細胞から構成される毛状根細胞やその組織を用いることが、本実験においては特に重要であるので、十分な時間をかけて、それぞれのクローンを樹立した。また、毛状根から植物体を再生した。各々のクローンを野生株と同じ生理的培養状態に整えるために、数カ月間継代培養した。次に、薬剤耐性等のマーカー遺伝子を持ったプラスミドを有する Agrobacterium tun efaciensをそれらのクローンに接種し、形質転換体が得られるかどうかを検討した。 その結果、野生型の植物組織では、薬剤耐性を示す形質転換細胞や組織が得られたのに対し、毛状根細胞やその組織においては、薬剤耐性の形質転換体が得られないことを確認した。この現象から、Ri T-DNAを導入した植物細胞には、アグロバクテリウムの再感染を阻害する機構が存在することが示唆された。 次いで、逆の感染系、すなわち、薬剤耐性遺伝子で形質転換した植物細胞や再生植物体に、RiプラスミドのT-DNAを導入することが可能かどうかを検討した。薬剤耐性の植物細胞組織を作出し、クローンを樹立したのち、それらの細胞組織を数カ月間継代培養した。再生植物体の葉切片にA.rhizogenesを感染させたところ、毛状根が得られ、また、それらは薬剤耐性遺伝子を保有していることがわかった。 以上の結果から、アグロバクテリウムの再感染を阻害する機能が、RiプラスミドのT-DNA中に存在する可能性が示された。
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