1995 Fiscal Year Annual Research Report
毛状根からの再生植物におけるアグロバクテリウム属細菌に対する再感染阻害機構の解析
Project/Area Number |
06806010
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
真野 佳博 東海大学, 開発工学部, 助教授 (20219538)
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Keywords | 毛状根 / Agrobacterium / Riプラスミド / T-DNA / トランスジェニック植物 / 免疫応答様機構 / 遺伝子発現 / 植物分子生物学 |
Research Abstract |
アグロバクテリウムの感染系において、すでにRiプラスミドのT-DNAが組み込まれた植物細胞組織には、アグロバクテリウムが再感染できないことがわかった。一方、薬剤耐性遺伝子で形質転換した植物にはAgrobacterium rhizogenesが感染でき、薬剤耐性の毛状根が単離できたので、これらの薬剤耐性毛状根の表現形質について検討した。RiプラスミドのT-DNAと薬剤耐性遺伝子のT-DNAが植物染色体上で共存できるかどうかを調べる目的で、薬剤耐性毛状根を薬剤を含まない培地で長期間(約8ヶ月間、20回)継代培養した後、薬剤を含む培地に移して培養した。その結果、生育可能であることから、組み込まれた2つのT-DNAは共存できることがわかった。 感染の結果として形質転換体が得られるためには、アグロバクテリウムの植物細胞への接着、T-DNAの移行、T-DNAの組み込み、遺伝子発現の4つの過程が完遂されなければならない。そこで、感染過程のどの時期に阻害機構が働くのかを検討した。まず、RiプラスミドのT-DNAが組み込まれた植物細胞から細胞壁を除去してプロトプラストを調整した。アグロバクテリウムの細胞から薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドを抽出し、エレクトロポレーション法を用いて植物細胞内に遺伝子を導入した。その結果、野生型の植物細胞では、薬剤耐性を示す形質転換植物細胞が得られたのに対し、RiプラスミドのT-DNAが組み込まれた植物細胞からは得られなかった。 以上の結果から、再感染阻害機構は、少なくともT-DNAが組み込み、あるいは遺伝子発現の段階で作動していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)