1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヨード造影剤の副作用に関する免疫学的研究〜IL-4誘導性免疫反応について
Project/Area Number |
06807075
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮内 輝幸 順天堂大学, 医学部, 助手 (90219725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (50009700)
平野 隆雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10165186)
片山 仁 順天堂大学, 医学部, 教授 (80053007)
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Keywords | 水溶性ヨード造影剤 / 副作用 / インターロイキン4 |
Research Abstract |
これまで我々は、X線検査に用いられる水溶性ヨード造影剤の副作用の発生機序について、ELISA法などの免疫学的実験手法を用いて、マウスのIgE抗体産生に及ぼす水溶性ヨード造影剤の影響について解析を加えてきた。その結果、以下の知見が得られた。 (1)水溶性ヨード造影剤自体は免疫反応に直接的には関与しない。(少なくとも抗原として関与していることは証明されなかった。) (2)しかしながら水溶性ヨード造影剤の存在により、IgE抗体産生が増強するという実験結果が得られ、水溶性ヨード造影剤のアジュバント効果が示唆された。 (3)この反応は、インターロイキン4(以下IL-4)誘導性の免疫反応と考えられた。 そこでこれまでの実験系に抗IL-4作用のある物質を加えてIgE抗体産性量の変化をみることにより、上記仮説の裏付けができると考え、以下の実験を行った。 マウス(BALB/c)を5匹ずつの6グループにわけ、初回免疫後4週間後に二次免疫を加えて、毎週採取したプール血清を実験に用いた。Group1:DNP-KLH+Alum、Group2:DNP-KLH+Alum+Iopamidol、Group3:DNP-KLH+Alum+11B11、Group4:DNP-KLH+Alum+Iopamidol+11B11、Group5:DNP-KLH+Alum+Rat IgG_1、Group6:DNP-KLH+Alum+Iopamidol+Rat IgG_1 これまでの実験結果どおり、やはり二次免疫後1週目(初回免疫後5週目)の血清において、Group1よりもGroup2のIgE抗体産性の増強が確認され、さらにGroup4においてはその抗体産性が抑制されるという結果が得られた。すなわちこの実験系における水溶性ヨード造影剤(Iopamidol)のアジュバント効果が再確認され、さらにその効果は抗IL-4物質によって抑制されるものであるとの結論が得られた。以上より、水溶性ヨード造影剤による副作用のうち、免疫学的機序の関与が疑われるものについては、IL-4誘導性免疫反応がその本体である可能性が高いと考えられた。
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