1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06807115
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯邉 靖 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90176264)
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Keywords | 細胞融合 / 悪性形質 / 赤血球膜 / ポリエチレングリコール |
Research Abstract |
本年度の研究は、腫瘍細胞と正常体細胞との細胞融合が実現しうるか、またその融合効率を向上させるための条件は何か、また融合して細胞膜に不安定性をきたした雑種細胞の増殖能、形態について明らかにすることにある。 (方法)赤血球は研究者自身より採血し燐酸緩衝液にて洗浄し、直ちに実験に用い、一部は3日を限度として燐酸緩衝液中に冷蔵した。腫瘍細胞としては、PNETと考えられる骨盤腫瘍から当科にて樹立したNBsusSR 800代前後を随時実験に供した。赤血球浮遊液と腫瘍細胞浮遊液を種々の割合に混じて遠沈し、上清を捨て、分子量1500と4000の2種類のポリエチレングリコール(B.M 社製)を単独あるいは種々の割合に混じて重層しタッピングにより混和した。37℃にて1分間インキュベーション後、NBsusSRの継代に用いているGIT培地で洗浄後、一部をtypeIコラーゲンでコートしたシャーレに播き、一部を直ちに観察に供した。 (結果)融合直後の形態:大型の球形の細胞が散見されるが核の数が不明で腫瘍細胞同志の融合の可能性があり、腫瘍細胞と赤血球が融合しているかどうかは判定困難であった。しかし融合途中で停止したとおもわれる腫瘍細胞に半ばとりこまれた半円形の赤血球が確認され、融合が成立していることは証明された。融合後の経時的変化:単核でやや大振の腫瘍細胞と、通常サイズの腫瘍細胞、多核の腫瘍細胞の三種類が確認された。腫瘍細胞同志が融合したと思われる多核細胞は核の数に比例した多数の突起を持ち、腫瘍細胞と赤血球が融合したと考えられる単核でやや大振の腫瘍細胞は突起数が少ない。この2種類の細胞は経時的観察のあいだ、分裂増殖に向かう傾向がなく、余分の細胞膜を組み込むと腫瘍細胞は増殖能力を失うことが明らかになった。
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