1994 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発性口内炎に対する唾液の防護効果:口腔粘膜上皮細胞DNA=重鎖切断の検討
Project/Area Number |
06807150
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
有馬 良治 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00222761)
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Keywords | 放射線 / 口内炎 / 唾液 / 放射線防護 / 口腔粘膜 / 上皮細胞 / DNA二重鎖切断 / パルフフィールド電気泳動 |
Research Abstract |
放射線誘発性口内炎は口腔粘膜上皮細胞の致死障害に由来し、分子レベルではDNAの二重鎖切断が関与している。ヒト歯肉を用いた上皮細胞浮遊液を作製し、これを正常ヒト唾液を添加した群と非添加群に分け、両群に放射線を照射し、直後のDNA二重鎖切断を定量比較することで唾液の放射線誘発性口内炎に対する防護効果を検討した。(方法)1.健康成人の埋伏智歯抜去後の歯牙に付着した歯肉より得られた粘膜上皮を用いて分散細胞浮遊液を作製した。2.健康ボランティアより自家製唾液吸引カップを用いて顎下腺唾液を採取した。3.上記分散細胞浮遊液の細胞数をコールターカウンター(今回購入)を用いて計測した。10×10^4個/mlの細胞を4群に分けた。4.それぞれを未処置群、唾液添加群、放射線照射群、唾液添加後放射線照射群、として後者の二群のみに15Gyの放射線照射を行った。5.照射後の各群をロ-メルトアガロースと混合してゲルブロックを作製した。6.同ブロックをプロテナーゼKで50℃24時間インキュベートし、ブロック中はDNAのみとした。7.インキュベート後のゲルブロックを用いたパルスフィールドゲル電気泳動を24時間行った。8.泳動終了後のゲルプレートをエチジュウムブロマイド染色し、紫外線による励起光をデンシトメーターで測定し、原点のintact DNAと移動した二重鎖切断DNAの比率をもとめ、唾液添加群と非添加群の両群間で比較した。(結果)現段階では両群間の明らかな差は認められず、さらに未処置群のDNAのうちの約60%に二重鎖切断が見られたが、唾液のみを添加した群は約50%であった。これは放射線照射前の細胞処理操作ですでに、DNA degradationが起きていることを示しているが、唾液はこのDNA障害でさえも防護することを示唆しており、今後、さらに前処理操作の習熟と放射線の線量依存性の変化等を検討してゆく予定である。
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