1995 Fiscal Year Annual Research Report
要約文の表現類型と評価方法-外国人留学生と日本人大学生の比較-
Project/Area Number |
06808027
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐久間 まゆみ 日本女子大学, 文学部, 教授 (30153943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 知子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 専任講師 (20229040)
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Keywords | 要約文の表現類型 / 要約文の評価基準 / 外国人留学生 / 日本人大学生 / 日本語教師 / 国語教師 / 原文残存認定単位 / 文章理解 |
Research Abstract |
本研究着手後2年目の平成7年度は、前年度実施の日本語教師と国語教師各5名による日本人大学生と外国人留学生各60名の要約文各2種の第1次評価調査の結果を検証するために、日本人大学生110名(各要約文5名の評価者の5段階評価と評価項目の指摘)による第2次評価調査を実施した。また、要約者2集団の要約文各2種の原文残存判定に基づく「表現類型」と3種の評価調査結果の関連について分析し、原文と要約文の残存認定単位で検索するデータベースを用いて、要約文の表現と評価段階や評価項目の指摘との対応を詳細に検討する作業を継続している。 2集団の要約文各2種に関する3集団の評価調査の結果から、日本人大学生と外国人留学生の要約文の質的差異が明らかになった。評価段階の平均は、国語教師の日本人の要約文の方が日本語教師の留学生のものよりも高く、I「命拾い」の方がA「日本人はそんなに駄目か」よりも高い。大学生の評価にも同様の傾向が認められたが、教師よりも評価段階の平均は低くなっている。 国語教師の日本人要約文の評価項目の指摘は、よい理由の表現面の項目が多いのに対し、日本語教師の留学生要約文の場合は悪い理由の内容面の項目が多いが、大学生の評価項目指摘にも、日本人と留学生の要約文に同様の傾向が認められた。全般的に、要約文の評価基準には評価者各人の要約観の相違が色濃く反映されるということが確かめられた。 原文残存認定単位の出現傾向の違いから、要約文の巨視的な表現類型を主に分析したが、要約文における原文の表現のパラフレーズの様相や誤用表現等を分析して、各種の要約文の評価段階や評価基準の根拠をより厳密に把握することの必要性を感じた。なお若干検討の余地はあるものの、2種の原文の文章表現が要約者2集団の文章理解と要約文の表現方法に反映し、評価者3集団の要約文の評価方法の相違を生じさせるということが、ほぼ確認されたように思う。
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