1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06851043
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
則松 彰文 福岡大学, 人文学部, 助教授 (30189451)
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Keywords | 民衆生活史 / 奢侈批判 / 衣服規制 |
Research Abstract |
本研究は、近年の中国人研究者による若干の成果を除き、全くと言ってよい程、先行研究の欠落した分野であるが故に、本年度の研究には常に試行錯誤がつきまとった。 研究実施に当たっては、史料収集、調査のために3度の東京出張を行い、集中的に、かつ努めて幅広い範囲で史料を調査するよう心掛けた。当初の実施計画において掲げた研究対象のうち、本年度はとくに以下の2点につき研究を実施した。 第1は、衣服に関する奢侈批判の史料に着目し、同時代人の眼に「奢侈」と映った衣服について、その歴史的変遷、当該衣料の社会的位置づけ等を考慮しながら、民衆生活史と衣服の一端につき考察を深めた。 第2は、当時流行した衣服が、人々に如何なる理由で受け入れられ、もてはやされたのか、という重大問題を考える上で一つの手掛かりとなるであろう、国家による詳細な衣服規制の問題につき考察を行った。規制の目的で意義については、時代差・地域差を越えた共通項、つまり身分制秩序の維持・固定化という目的がみて取れるが、その規制、そして規制対象となった衣服が、民衆にとっては逆にステイタス・シンボルとなるという現象もまた、いま一つの共通項と言えそうである。 以上に述べて来た如く、本年度は史料収集に重きを置いた為、分析の深化を未だ十全に果たし得ていない。いましばらくの考察の後、研究成果を公刊したいと考える。
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