1994 Fiscal Year Annual Research Report
ガマズミの萌芽枝の樹形解析に基づく株単位での樹形形成過程の一般化
Project/Area Number |
06854051
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
依田 清胤 石巻専修大学, 理工学部・基礎理学科, 助手 (30254832)
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Keywords | 樹形解析 / 分枝様式 / 低木 / ガマズミ属(viburnum) |
Research Abstract |
宮城県牡鹿半島を中心に計32林分を踏査した。調査林分はコナラの優占する落葉広葉樹二次林、あるいは優占種としてコナラとアカマツの混生する二次林であり、すべて標高約300m以下の丘陵地帯に成立している。踏査の結果ガマズミの出現頻度は、アカマツの優占度が高くなるほど低下すること,丘陵地の南向きの斜面、特に頂部平坦面ならびに頂部斜面(最大傾斜約20°)で高く、谷壁斜面や谷底面では急激に減少すること、コナラ優占林分でもコナラが大径木となるほど低下する傾向がみられることなどが明かとなった。 さらに上記32林分のうちガマズミが特に高密度に生育する8林分において、ガマズミ212株を対象として各種解析を実施した。これらの株について株あたりの萌芽枝数の観察と計測、芽鱗痕の計測による齢の推定、樹冠最外部域における四分枝型の数の記録、軸の年間伸長量(当年枝、前年枝)の計測、各軸の休眠腋芽から伸長した新たな軸の数の観察と計測を実施した。その結果、萌芽枝は株あたり1本から最高で15本が認められ、総計で622本の萌芽枝が解析対象となった。各萌芽枝の齢と四分枝型の相対頻度、軸の年間伸長量との関係はこれまでに得られた結果と一致していた。いっぽう株あたりで形成される萌芽枝、新たな軸の数と各林分特性との間で特に明確な傾向を認めることはできなかった。ただし多くの萌芽枝を持つ株では新たな軸の形成頻度が低下し、株あたりの萌芽枝が少ない場合は萌芽枝あたりより高次の軸を形成する傾向が認められた。 以上の結果から萌芽枝形成と新たな軸形成との間で何らかの競合作用の生じていることが推定された。現在はこの競合作用の実態を解明するために、株内の水分動態に注目した解析を進めているところである。
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