1994 Fiscal Year Annual Research Report
前癌病変および早期癌における微細構造ならびに癌浸潤様式に関する三次元的観察
Project/Area Number |
06857155
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石倉 信造 鳥取大学, 医学部, 教務員 (40243406)
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Keywords | アルカリ消化法 / 上皮基底面 / 口腔粘膜 / 前癌病変 / 扁平上皮癌 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
口腔粘膜の正常部,前癌病変,癌病変の上皮基底側を,60℃に加温した6N水酸化ナトリウム消化法を用いて試料作製し走査型電子顕微鏡を用いて研究した.この消化法によって基底膜と膠原線維は完全に除去されて上皮層のみが剥離し,上皮の基底側を広範囲にわたって三次元的に観察することができた. 正常粘膜の基底面は,結合識乳頭をいれていた円形陥凹構造が認められた.陥凹は,正常組織では規則的に配列していた.強拡大像では,多数の基底突起と基底隆起が上皮基底面に認められた.これらの細胞基底側の突出構造は,膠原線維を避けるように下方に伸びだした構造物であり,正常上皮の自由表面に観察される微小隆起とはことなる構造物である. 前癌病変,および癌病変部の基底面では,上皮の基底面には基底突起の蜂巣状構造物が認められた.この蜂巣状構造は本研究によって初めて明らかにされたものであり,今後の前癌病変の微細形態学的特徴として診断に用いる可能性が示唆された.上皮内癌の基底面には,癌細胞とその突起が基底上皮細胞の間に認められた.早期の微小浸潤癌では,癌細胞は基底側に球状突起物を有していた.癌胞巣の外面では,癌胞巣を結びつけられていると思われる花弁状の構造物が認められた. 本研究で得られた結果は,平成6年8月にパリ国際電子顕微鏡学会に発表し,雑誌論文として,Medical Electron Microscopyと米子医学雑誌に発表した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinzo ISHIKURA: "Sconning Electron Microscopic Observations of the Basal Surfac of the Human Oral Muiosa and Sgudncous Cell Carcioumas" Medical Electron Microscopy. 26. 227-229 (1994)
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[Publications] 石倉信造: "走査型電子顕微鏡によるヒト口腔上皮基底面の観察-正常粘膜および癌病変について" 米子医学雑誌. 46. 77-90 (1995)