1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06857157
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
登 正太郎 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00198615)
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Keywords | 口蓋帆挙筋 / 退行性変化 / 筋萎縮 / 組織化学 |
Research Abstract |
手術時期の遅れた口蓋裂患者や,悪性腫瘍などのために軟口蓋半側切除を行った患者においては,口蓋筋の萎縮を生じることが経験的に示唆れているが明確ではない。今回我々は,犬を用いて軟口蓋半側欠損モデルを作成し,口蓋帆挙筋の経時的変化を形態学的・組織化学的に観察し若干の知見を得た。成犬12頭を用い,経口挿管麻酔下に軟口蓋を正中にて分割,左半側を切除し口蓋帆挙筋を採取しコントロール側とした。術後1か月目、2か月目、4か月目、6か月目の4群に分類し、残った右半側軟口蓋を切除し実験側とした。左右口蓋帆挙筋の連続凍結切片を作成し,HE,Gomoriトリクローム変法、actomyosinATPase,NADH,酸フォスファターゼ,非特異性エステラーゼ,オイル,・レッドOの各染色を行い比較分析した。また,筋の一部をグルタルアルデヒド・カコジル酸,酸化オスミウムにて固定後,電顕用切片を作成し微細構造の変化を観察した。HE標本を画像解析装置nexus6810にて筋線維断面積を測定し平均値を算出,各個体ごとに実験側対コントロール側の平均断面積の比を算出し,月数別に変化を検討した結果,断面積は1か月目にすでに68.4%細小化し,以後6か月目まで大きな変化を認めなかった。タイプ別繊維数では,コントロール側において,タイプIIが99.2%から76.4%と大部分を占め,また術後はタイプII線維数の割合が増加する傾向が認められた。実験側の組織所見では,硝子様変性や分葉状を呈す線維を認めた。口蓋半側切除モデルでは、非生理的条件下に置かれたことにより,筋線維の細小化のほかに,硝子様変性などの退行性変化を生じることが示唆された。
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