2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 文京 京都大学, 人文科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAN Yanli 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 華人 / 華僑 / 文学 / 映画 / アイデンティティ |
Research Abstract |
平成18年度に外国人特別研究員は、計画通りに映画雑誌などの文字資料の調査や映画フィルムの発掘調査に力を入れてきた。 2006年7月末から8月頭にかけて、外国人特別研究員は戦後のマレー半島における中国系移民の映画製作・受容の実態を調べるために、マレーシア国家映画発展局や華人社会研究センターへ足を運び、史実の解明に繋がる貴重な一次文字資料の発掘・収集を行った。そこで収集した資料や映画作品に対してテクスト分析と歴史的分析の統合を行い、2006年10月に香港大学で行われた「香港映画における冷戦要素」というテーマの国際シンポジウムで口頭発表を行った。発表の内容は高い評価を受け、その概要は2006年11月3日付きの現地新聞『明報』に掲載された。さらに、「不談政治的政治学:港産倫理親情片試析」という題でまとめた中国語の論文は、香港電影資料館から出版される論文集に掲載されることになっており、2007年に刊行される予定である。 2006年10月に、外国人特別研究員は香港大学図書館で「香港コレクション」という歴史的価値の高い資料を閲覧し、香港電影資料館でフィルムの特別映写を依頼した。上記の調査結果を踏まえて、「母もの映画のポリティックス-1950年代後半における香港『国片』と変貌する母親の表象」という題でまとめた論文は、中国文芸研究会の機関紙『野草』(2007年6月号)に投稿し、現在査読中である。また、映画監督などの関係者に、1950年代から1960年代までの問の東南アジアにおける華人の映画製作の実態に関して、聞き取り調査を行った。当事者の貴重な証言をもとに、今後は、かつて海外華人によって製作された映画が大量に配給・興行されていたシンガポールへも調査に赴き、積極的に現地の関係者から情報収集を行い、各種一次資料の発掘・収集に努める予定である。
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Research Products
(2 results)