2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06006
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田窪 行則 京都大学, 文学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WRONA Janick 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 上代日本語 / 統語変化 / 係り結び / メタ言語的否定 / 名詞化 |
Research Abstract |
平成18年に雑誌論文を3件投稿した。1)本稿では上代日本語における係り結び構造に左方wh-またはフォーカス-移動が存在しないと論ずる。渡辺明の諸論文によると係助詞が受ける句は左方移動して、ノ・ガ助詞により表記される主語よりたかい位置に置かれている。渡辺の説に対して本稿では左方移動の代わりにノとガにより表記される主語が連体形の動詞に隣接すると考えられる。2)本稿では奈良時代から江戸時代まで"サ"派生語の展開を調べた。"サ"は派生語だけではなくて、上代日本語から間投節を作る機能も持っている。これはアジア諸言語と比べると同様の通時的発展である。3)本稿では形式名詞"コト"が否定存在形容詞"ナシ"と複文を構成するとメタ言語的否定(Metalinguistic negation)の意味が現れると論ずる。これは上代日本語の一つの特徴である。中古日本語の時代に入り、この構造からはメタ言語的否定の意味が失われる。
|