2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカの遊牧社会における「近代化の経験」と生活の再構築に関する総合的地域研究
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06F06015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 至 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 暁剛 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生業経済 / 東アフリカ乾燥地域 / 非平衡生態系 / 持続性 / 移動性 / 社会的・経済的な動態 / トゥルカナ / レンディーレ |
Research Abstract |
(1)これまでに収集した一次資料の分析 ケニアのトゥルカナ社会においては、結婚に際して夫方から妻方に多数の家畜を婚資として贈与する慣行があるが、太田は、その頭数を決定する会議における人びとの発話を分析することをとおして、人びとは、従来には維持されてきたさまざまな慣行が次第に実施されなくなってきていることを認識しており、それを遵守しようとする者と、変化を容認しようとする者とのあいだに葛藤があることを明らかにした。孫は、レンディーレ社会における家畜群の動態と、遊牧領域や移動パターンなどの生態学的分析、人口動態や世帯構成の変化、居住形態の変化、そして地域の社会的・経済的な動態を分析した。 (2)国際ワークショップの主催と成果出版 2006年11月9-13日には、京都大学で国際シンポジウム「総合的地域研究の新地平:アジア・アフリカからディシプリンを架橋する」が開催されたが、このなかでサテライト・ワークショップ『ユーラシア・アフリカ遊牧社会のゆくえ:「移動性」と「柔軟性」の可能性をさぐる』を企画・実施した。この成果は『ASAFAS Special Paper : Mobility, Flexibility, and Potential of Nomadic Pastoralism in Eurasia and Africa』という論文集として出版した。太田はこの過程にアドバイザーとして参加し、孫は実質的な企画・運営と出版の編者をつとめた。 (3)比較研究の資料収集のためのフィールドワーク 孫は2006年8月に、レンディーレ社会における大旱魃の被害と社会・経済的変化の継続調査をおこなった。また、2007年2-3月には、南アフリカ共和国とナミビアにおいて、乾燥地域の牧畜民の生業活動と遊牧戦略に関する比較研究をおこなった。
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Research Products
(5 results)