2007 Fiscal Year Annual Research Report
曲面に付随する複体および写像類群の計算可能性と大域幾何
Project/Area Number |
06F06034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 定吉 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHACKLETON K.J. 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 幾何学的群論 / 双曲幾何 / タイヒミュラー理論 / 結び目理論 / 写像類群 / カーブグラフ / パンツグラフ |
Research Abstract |
本研究は,日本学術振興会外国人特別研究員であるKenneth Shackleton氏と共同で,曲面のタイヒミュラー空間の大域幾何(large scale geometry)の理解を深め,3次元多様体の研究への応用,とくに写像柱と体積の関係について知見を得ることを目指している.この目標は,ペレルマンによる幾何化予想の解決の手法により,これまで以上に精度の高い命題がえられることが期待されている. 研究を効果的に進める上で,Shackleton氏とはごく日常的に研究打ち合わせを行った.また,氏には積極的に多くの研究者と討論することを勧め,国外を含め研究集会での成果公開,および研究打ち合わせを実施していただいた。その結果,3次元多様体の研究への応用という意味で具体的成果はまだ提示できないが,研究対象に対する理解がたいへん深まった. 一方,Shackleton氏自身は,パンツグラフ上の2点間の距離は計算可能かという大目標に取り組んでいるが,今年度,2点穴空きトーラスと5点穴空き球面について,その証明を達成したことが大きな成果である.実はより示唆的で,パンツグラフの中で自然に定義される余次元一定の部分グラフが全測地的というたいへんワイルドな予想を立て,この予想が,非自明な場合の中で最も単純な上述の場合に記したという定式化を得ている.アドホックな証明を与えたということではなく,将来の見通しも示唆したという点で優れており,氏が昨年夏に英国のWarwick大学で開催された研究集会でこの成果を講演したときには,たいへん注目が集まった.これらの研究成果が認められ,氏は昨年10月に設置された数物連携宇宙研究機構(IPMU)のポスドクに採用され、日本学術振興会採用期間終了後はIPMUに移ることが決まっている。
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Research Products
(4 results)