2007 Fiscal Year Annual Research Report
Navier-Stokes方程式の解の漸近挙動の研究
Project/Area Number |
06F06038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮川 鉄朗 Kanazawa University, 自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAN Pigong 金沢大学, 自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 初期値問題 / 非有界領域 / 漸近挙動 / 特異性 / 安定性 |
Research Abstract |
HAN氏来日以後,代表者と共同で解の漸近挙動に関する文献収集を行い,計画を実施するための準備を行った.この作業を要したのは,HAN氏が来日前に本国で専ら別の微分方程式を研究しており,流体力学の数学解析に触れた経験がなかったためである.HAN氏は文献収集を進める傍ら,集めた文献の1部を実際に読み解いて3次元Navier-Stokes方程式の弱解が正則であるための新たな十分条件を見出すとともに,代表者と共同で,その結果を4次元の場合に拡張した.しかしながら最近2年間の代表者の公務多忙のため,原稿は長期間未完成のままであった.年度が改まって代表者に論文執筆の時間的余裕が生じためで,近日中に最終康稿をまとあて投稿する予定である. 現在はHAN氏とともに,特異な摂動項を伴うNavier-Stokes方程式の解の挙動の研究に取り組んでいる.この問題は回転物体周囲の流れの解析についての最近の進展状況に触発されて考え始めたものである.この問題については無限遠での挙動の詳細な研究に対象を限定すると,従来の弱解の概念は有効ではなく,従って長時間挙動を考察するには小さな初期値に対応するなめらかな解に対象を限定せざるを得ない.この研究は現在進行中であり,HAN氏が帰国する予定の9月半ばまでには最終原稿を用意出来る見込みである.同時にまた,半空間における流れの問題を通常と異なる関数空間で扱う作業も進展中である.以上のような事情で,出版された論文は今のところは存在しないが,HAN氏の日本滞在中には少なくとも1篇は掲載受理され,氏の帰国後には2篇程度の論文を投稿できる見込みである.
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