2006 Fiscal Year Annual Research Report
Navier-Stokes方程式の解の漸近挙動の研究
Project/Area Number |
06F06038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮川 鉄朗 金沢大学, 自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAN Pigong 金沢大学, 自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナヴィエ・ストークス方程式 / 定常流 / 安定性 / 漸近挙動 / 非有界領域 |
Research Abstract |
外国人特別研究員が18年9月来日して以来,当初の計画に沿って,非有界な境界をもつ非有界領域での定常問題の研究に着手する準備を進めて来た,この間,特別研究員HANは宮川の指示に基づき,無限遠方での圧力場の挙動と対応する速度場の挙動との対応関係の研究を進めている.同時にこの問題に関する先行研究の資料の収集も行っている.圧力場の挙動については,さしあたり無限遠で定数に漸近する揚合を考え,その定数を差し引いて得られる関数の無限遠での減衰の速さの評価を行っている.しかしその定数は方向によって異なる場合があり,どの方向でどのように異なるかは,考える領域の幾何学的性質に強く依存する.いきおい研究は個別的なものにならざるを得ないが,方向が二つという最も単純な場合には,流体力学では多くの現象に関わる実例があり,その実例を参照しながら,ある程度統一的な理論を作る作業が進んでいるが,まだ得られた結果をまとめて公表できる段階には至っていない. 上記の研究と並行して,昨年末から非定常流の研究も進行中である.対象は,全く一般の非有界領域での非定常問題(初期値・境界値問題)の弱解のなめらかさと局所的漸近挙動の解析である.弱解の存在については古くから知られているが,その詳しい性質については特殊な形の領域の場合以外にはほとんど何も知られていない,本研究では,領域についてはある程度のなめらかさと一様性を要求はするものの,境界の形に関する幾何学的要請は一切しない,幾何学的要請を要しない理由は,この問題については問題の本質的部分を局所化できることにある,このことが発見されて,非定常問題の局所解析が比較的容易なものになった. この方面については最近2-3年間に主にドイツと日本で新たな知見が公表されており,本研究ではそれらの改良と拡張を目措している.現在は得られた結果の一部をプレプリントの形にまとめている段階である.今後,記述や内容を改良して,今年度内にしかるべき雑誌に投稿したいと考えている.
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