2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松柳 研一 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MICHEL Nicolas Lucien Jean 京都大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ガモフ状態 / 不安定核 / シェル模型 / 中性子ドリップ線 / 対相関 / ハートリー・フォック近似 / 共鳴状態 / 平均場近似 |
Research Abstract |
ドリップ線近傍の不安定核の基底状態と低い励起モードの性質を記述する基本的な理論として,連続状態HFB(Hartree-Fock-Bogoliubov)理論と連続状態QRPA(Quasiparticle-Random-Phase Approximation)理論を構築する新しい研究プロジェクトを開始した.自己無撞着に導出した平均場が球対称性を破った(変形した)場合にも連続状態(共鳴状態と散乱状態)への励起を正しく取り扱える実用的な方法を開発することに主眼がある.この目的に向かって先ず,1)連続状態での対相関(核子ペアーの共鳴状態や散乱状態への励起)を取り入れるために,(複素エネルギー固有関数である)Gamow基底を用いて平均場をself-consistentに導出する新しい平均場理論=Gamow-HFB理論を構築し,続いて,2)そこで得られた一般化された1粒子モード(準粒子モード)を用いて振動励起を微視的に記述するGamow-QRPA法を開発する.本年度は1)の課題を遂行する実用的な計算アルゴリズムを構築することに成功した.この研究の中で,束縛状態と連続状態の固有関数を解析的に求めることが出来るPoschl-Teller-Ginocchioポテンシャルの1粒子基底を使って連続状態HFB方程式を解く非常に有用な方法を開発した. この方法を用いて中性子ドリップ線近傍のNiアイソトープの密度分布と対相関の性質を精密に分析した結果,ドリップ線に近づくにつれて連続状態における対相関が成長するため,対ギャップは単純な予想に反してむしろ強まるという,非常に興味ある結論が得られた. 更に,この新しい方法はZr110やMg40など変形した中性子過剰核に対しても極めて有効であり,Box境界条件と3次元メッシュ座標空間表示によるHFB方程式の数値解法に比べて遼に短時間で収束解を与えることが分かった.
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