2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松柳 研一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MICHEL NIcolas Lucien Jean 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ガモフ状態 / 不安定核 / 中性子ドリップ線 / 対相関 / ハートリー・フォック近似 / 共鳴状態 / 平均場近似 / 原子核構造 |
Research Abstract |
ヒルベルト空間を複素エネルギー面に拡張し、共鳴状態をGamow基底を用いて記述するGamow-HFB理論の定式化、その数値計算プログラムの開発、典型的な現象への適用を行った.中性子ドリップ線近傍のNi84-Ni90に対する適用では、通常の予想と異なり、ドリップ線に近づく従って対相関が増大するという大変興味深い結果を得ている。これは弱束縛状態、共鳴状態おとび散乱状態にたたがる中性子ペアーのコヒーレントな運動の結果であり、ドリップ線近傍の不安定核でユニークな特徴をもった対相関が生じることを示唆している。 更に、散乱の境界条件を厳密に考慮して解いたGamow-HFB理論による結果とBox境界条件のより連続状態を離散化してHFB方程式を解いた結果とを比較し、両者が非常に良く一致することも示した。これは実座標空間を格子に切りBox境界条件の下で連続状態を離散化してHFB方程式を解くアプローチを正当化するものである。 この研究の過程でHFB方程式の新しい有用な解法を見つけた。これはPoschl-Teller-Ginocchio(PTG)ポテンシャルと呼ばれる固有関数を解析的に求めることのできる基底を用いてHFB準粒子波動関数を展開する方法である。この方法は変形ポテンシャルへの拡張も容易なので、変形した弱束縛原子核に対する非常に有用な方法になると期待される。 Gamow-HFB理論のもう一つの魅力は準粒子の逃散幅も計算できることである。ドリップ近傍の不安定核では低いエネルギーの準粒子状態でも連続エネルギー状態となる.したがって、これらの準粒子励起のコヒーレントな重ね合わせによって形成される低い集団励起状態も連続状態になり逃散幅をもつ。今年度開発したGamow-HFB平均場基底を用いて、ドリップする限界に近い不安定核に特有なソフト集団モードが出現する可能性をself-cinsistent準粒子RPA計算のよって計算する準備を進めている。
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Research Products
(8 results)