2006 Fiscal Year Annual Research Report
Belle実験におけるB中間子崩壊およびCP非保存の研究
Project/Area Number |
06F06044
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
堺井 義秀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KROKOVNYY Pavel 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | CP非保存 / ユニタリー三角形の角φ_3 / Bファクトリー / Dalitz plot解析 / CKM matrix |
Research Abstract |
高エネルギー加速器研究機構(KEK)B-ファクトリー加速器は1999年に稼動して以来、改良を重ねて現在世界最高のルミノシティで稼動している。Belle実験はこれまでB中間子でのCP非保存の発見等、数多くの成果を上げてきた。Krokovny氏はCP非保存の測定を用いたユニタリー三角形の角φ_3の測定の解析を中心とする、「φ_3解析グループ」のリーダーとしてさらにφ_3の測定の解析を推し進めた。 Belle実験ではφ_3の測定の新しい方法としてB→D^0K崩壊においてD^0→Ksπ^+π^-崩壊のDalitz plot解析をCP非保存の解析に応用する方法を開発し結果を発表した。本年度は、前回の152x10^6個のB中間子対のデータの結果をさらにデータを増やして386x10^6個のB中間子対のデータを使って精度を上げた測定を行い論文および国際会議で発表した。この方法は今のところ最も精度の良いφ_3の測定結果を与える。 また、B→D^<*+>π^-崩壊モードの時間分布のCP非対称性の解析によりsin(2φ_1+φ_3)の測定することができるが、この崩壊のD^<*+>を部分的に再構成することにより解析に使う事象数を増やすことができ測定の統計制度を上げることができる。本年度は、上記B→D^0K崩壊の解析同様、前回の152x10^6個のB中間子対のデータの結果を386x10^6個のB中間子対のデータを使ってより精度を上げた結果を発表した。今回の測定では2σ以上の有意性でCP非対称性が確認された。 さらにφ_3は、B→D_<CP>K^<(*)>崩壊モード(ここでD_<CP>はD^0のπ^+π^-などのCP固有状態への崩壊モードを表す)の崩壊分岐比およびB^+とB^-の分岐比の対称度の測定により制限を与えることができる。本年度は、275x10^6個のB中間子対のデータを使った解析の最終結果を出して論文に発表した。 新しい解析方法として、上述のD^0→Ksπ^+π^-崩壊のDalitz plot解析をB→D^0 h^0崩壊(ここでh^0はπ^0,ηなどの中性中間子を表す)の時間分布のCP非対称性に応用することにより、sin2φ_1とcos2φ_1を同時に測定することができることを明らかした。この測定により、通常のsin2φ_1のみの測定では決定できなかったφ_1とπ-φ_1かの不定性を解くことができる。Krokovnyしはシミュレーションによる測定原理の証明を行い、386x10^6個のB中間子対のデータを使って最初の測定結果を得て発表した。この結果、cos2φ_1が負の値の解は98.3%の確定性で排除することができた。
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Research Products
(6 results)