2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田島 節子 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHOSROABADI Hossein 大阪大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 高温超伝導 / 電子-格子相互作用 / (Ba, K)BiO_3 / 絶縁体-金属転移 / BCS理論 / 電気化学法 / 非弾性X線散乱 / フォノン分散 |
Research Abstract |
本研究の目的は、銅酸化物高温超伝導体の超伝導出現のメカニズムにおいて、電子-格子相互作用がどのように寄与しているのかを明らかにすることである。本年度は銅酸化物高温超伝導体の比較対象物質として(Ba, K)BiO_3を研究対象に取り上げた。本系の母物質であるBaBiO_3では電荷密度波(CDW)が発生しており、そのために絶縁体化している。BaBiO_3のBaサイトにKを化学的に置換することにより、CDW絶縁体-金属転移が生じ、同時に低温で超伝導が出現する。この超伝導は従来のBCS理論の範疇で理解できる。この典型的な電子-格子相互作用超伝導体である(Ba, K)BiO_3において、絶縁体-金属(超伝導)転移近傍のフォノン分散の変化を非弾性X線散乱を用いて明らかにし、超伝導に対する電子-格子相互作用の果たす役割を明らかにすることが、本研究の具体的な目的の一つである。本年度は単結晶育成装置の立ち上げと、散乱実験に必要な単結晶の育成を行った。(Ba, K)BiO_3は高温ではアモルファス状の物質となってしまうため、その合成には酸化物の単結晶育成で従来使用されるフラックス法などの溶融法は使用できない。そこで、文献[1]を参考に電気化学法による単結晶育成装置を作製した。単結晶育成装置は立ち上げが終了し、金属(超伝導)相の単結晶育成に成功している。現在、非弾性X線散乱の実験のために、実験室系での4軸単結晶X線散乱装置を用いて試料の結晶性の評価を行っている。同時に、絶縁体-金属転移近傍の試料の育成を行っている。非弾性X線散乱の実験に関してはSPring8のBL-35XUの施設を利用する予定である。既にこの研究に関する実験課題は採択されており、来年度5月に実験を実施する予定である。 [1]T.Nishio, H.Minami, H.Uwe, Physica C357-360(2001)376.
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Research Products
(4 results)