2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田島 節子 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHOSROABADI Hossein 大阪大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 超伝導 / 電子-格子相互作用 / (Ba,K)BiO_3 / 絶縁体-金属転移 / BCS理論 / 電気化学法 / 非弾性X線散乱 / フォノン分散 |
Research Abstract |
本研究の目的はBa_<1-x>K_xBiO_3を対象物質として取り上げ、酸化物超伝導体における超伝導出現機構において、電子-格子相互作用がどのように寄与しているのかを明らかにすることである。Ba_<1-x>K_xBiO_3の母物質であるBaBiO_3では電荷密度波(CDW)が発生しており、そのために絶縁体化している。BaBiO_3のBaサイトにKを化学的に置換することにより、CDW絶縁体-金属転移が生じ、同時に低温で超伝導が出現する。この超伝導は従来のBCS理論の範疇で理解できる。この典型的な電子-格子相互作用超伝導体であるBa_<1-x>K_xBiO_3において、絶縁体-金属(超伝導)転移近傍のフォノン分散の変化を非弾性X線散乱を用いて明らかにし、超伝導に対する電子-格子相互作用の果たす役割を明らかにすることを試みた。本年度は昨年度作製した単結晶試料を用いて、SPring8のBL-35Uのビームラインにおいて非弾性X線散乱によるフォノン分散の測定を行った。x=0,0.38の単結晶試料を用いて、擬立方晶ペロブスカイト構造における(001)方向のフォノン分散の測定を行った。母物質のx=0では幾つかのフォノンバンドが観測されたが、そのうちの酸素の変位モードに対応するフォノンバンドが約70meV付近に存在し、このエネルギーはほとんど逆格子の波数に依存しない。一方で、絶縁体-金属転移近傍の金属相に位置するx=0.38では、酸素の変位モードに対応するフォノンバンドは、ブリルアンゾーンの中心からゾーンの端に向けてソフト化していることが確認できた。この結果は、電子-格子相互作用が絶縁体-金属転移および、それに伴い出現する超伝導の発現機構と密接に関わっていることを示している。
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Research Products
(7 results)