2006 Fiscal Year Annual Research Report
瀬戸内海における底部冷水の生成・維持機構と海洋循環への影響に関する研究
Project/Area Number |
06F06053
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武岡 英隆 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHANG PILHUN 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 底部冷水 / 瀬戸内海 / 伊予灘 / 数値モデリング / 渦 / 季節循環 |
Research Abstract |
本研究は大きく二つの部分に分けて行われた。1つ目は、伊予灘での高密度の現場観測から底部冷水の生成・維持機構を明らかにすることである。2つ目は瀬戸内海全域を対象とする数値モデルを用い、灘部で見られる底部冷水とそれに伴う海水循環を調べることである。昨年度は以下の研究が行われた。 1)伊予灘における現場観測:底部冷水の生成から消滅までの詳細過程を把握するため、2006年4月から10月にかけて月1回の現場観測を伊予灘で行った。観測では水温、塩分、気象条件などが測定された。また、底部冷水の規模がもっとも大きくなる7月の観測では、上述した観測項目以外にADCPによる測流観測も行った。観測結果から、伊予灘での底部冷水は5月に生成し、海面冷却が始まる10月に消滅することがわかった。また、底部冷水に伴う反時計回りの循環が支配的であることがADCPの測流データ殻確認できた。現在、これらの観測データをより詳しく分析しており、その結果を2007年秋の海洋学会で発表する予定である。 2)瀬戸内海を対象とする数値モデリング:瀬戸内海全域を対象とする高解像度の3次元数値モデルを用いて、同海域における海水循環の季節変動を調べた。モデルの結果から、瀬戸内海の循環は大きく2つの循環モードが存在することかわかった。夏季は、淡水・熱の浮力加入による成層や底部冷水の発達に伴って灘スケールの河口循環流と反時計回りの循環が灘部や紀伊水道で支配的であることがわかった。また、冬季には強い北西風の影響によるdouble-gyre systemが灘部に存在することが計算結果から見られた。本研究は日本海洋学会の2006年秋季大会で発表しており、2007年5月に行われる国際シンポジウム(PAMS/JECSS)で発表する予定である。
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Research Products
(1 results)