2006 Fiscal Year Annual Research Report
次元性を制御したナノ空間中に制約されたイオン構造解析
Project/Area Number |
06F06059
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金子 克美 千葉大学, 理学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶 有勝 千葉大学, 理学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | ナノ空間 / ナノカーボン / イオンの水和構造 / X線吸収分光法 / 遷移金属 |
Research Abstract |
近年のナノテクノロジーの発展に伴い、ナノサイズの空間に制約分子やイオンの挙動について関心が多く寄せられている。細孔性固体のナノオーダー空間において分子の構造と特性が重要な化学システムであり、ナノ空間中に制約された電解質溶液は環境保全や生化学現象、省エネルギー工業プロセス等様々な面につながりがある。 本研究では、系統的なナノ細孔物質を利用して、ナノ空間を1次元から3次元系にまで広げながら、X線吸収分光法を用いてナノ制約がイオンの溶媒和構造にどのような影響を与えるかを研究していた。当面は2次元系スリット空間への制約を中心として研究し、一部については一次元系も検討した。この研究は、化学一般で重要なイオン溶液の構造と特性の理解にも繋がり、環境科学やバイオテクへの応用性も高い。 77Kでの窒素吸着等温線測定、X線回折(XRD)、熱重量/示差熱分析(TG/DTG)分析及び電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)観察から化合物は疎水性カーボンのスリットナノ空間中に均一分散していることがわかった。このことから、水吸着法によって炭素ナノ空間中に鉄とコバルトの溶液が調製できた。 化合物の水溶液の濃度と疎水性カーボンのボア構造の変化による鉄とコバルトの溶媒和構造変化を調べるため金属のK吸収端について広域X線吸収微細構造(EXAFS)測定(KEK PF ; BL-7CおよびBL-10B)を透過法によって行った。 代表的な塩化第二鉄溶液のナノ水溶液のFe-K^3 EXFAスペクトルをFourier変換して求めた動径構造関数から相当するピークを逆Fourier変換することで、第一水和殻に対するEXAFS振動が得られた。FEFF8を用いて、フィッティングした結果より、鉄イオンに対する水和数が著しく減少し、第1水和殻中原子間の距離も短くなることがわかった。同様に、スリットナノ空間中に塩化コバルド溶液の構造秩序の特異性もわかってきた。 以上の研究実績が国際炭素会議(The International Carbon Conference, Carbon 2006) と国際吸着学会 (9th International Conference on Fundamentals of Adsorption, FOA9)で発表した。
|
Research Products
(4 results)