2006 Fiscal Year Annual Research Report
低分子化合物が形成する集合体の強磁場を用いた精密ナノ構造制御
Project/Area Number |
06F06060
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 伸一 京都工芸繊維大学, 工学科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JEONG Yeonhwan 京都工芸繊維大学, 工学科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ソフトマテリアル / 低分子ゲル化剤 / 小角X線散乱 / ナノ凝集構造 / グルタミン酸-N, N-二酢酸ナトリウム / オレイン酸ナトリウム / 強磁場 / 放射光 |
Research Abstract |
ゲル状態で数十ナノメータ程度の厚みのラメラ構造を形成するような系である、グルタミン酸N, N-二酢酸ナトリウムとオレイン酸ナトリウムの混合物による複合ゲルをモデル系として、強磁場印加による構造配向制御の基礎研究を行った。具体的には、ゲル形成過程中に強磁場(12テスラ)を印加し、ゲル中の集合体の構造形成、配向に対する磁場の影響を明らかにするため、ゲル化剤の全体濃度依存性、ゲル化剤成分のモル比依存性、磁場の印加時間依存性について検討した。ナノ微細構造の解析はシンクロトロン放射光を用いた小角X線散乱(SAXS)測定によって行なった。 このゲルは1ミクロン程度の、直径の均一なファイバーを形成し、それがからみあってゲル化することがわかっているが、今回の実験の目的の一つである、強磁場によるゲルファイバーの配向は、容易ではなかったが、条件さえ最適化すれば配向度50%程度達成できることがわかった。さらに重要な結果として、磁場中でのみ安定に存在できると考えられるナノ構造を発見した。ここでいうナノ構造とは、無磁場下でも形成され、前記ゲルファイバー中に5nm程度の規則的繰返し周期のラメラ構造のことを指し、今回発見したものは、各ラメラ層の厚みが固有構造とは異なるものであった。また、この新ラメラ構造は磁場配向性能をほとんどもっていないことも明らかとなった。これらの結果は、強磁場をしたナノ構造制御の有効性を如実に示すものとして大いに注目される。
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