2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 公一 東北大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Xia 東北大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポテンシャルエネルギー曲面 / 分子進化 / 星間物質 / 星間反応 / 超球面探索法 |
Research Abstract |
極低温・超高真空の星間雲では障壁を持つ反応は進行せず、イオン-分子反応やラジカル反応が分子進化過程の中心的な役割を果たす。このとき反応物AとBは、衝突によって生じるABよりもずっと高いエネルギーを持っており、ABのポテンシャルエネルギー曲面(PES)上を駆け回った後でAとBまたは別の生成物CとDへと解離する。極低温での反応はPESに支配され、PESを調べることによって、AとBの衝突によって起こる分子プロセスを予測できる。しかし、PESは分子振動の自由度を変数とする多次元関数であるため、量子化学計算に基づくPES上の反応経路ネットワークを自動探索することは3原子と4原子系のいくつかの分子を除いて、ほとんど不可能であった。申請者らは新しいPES解析手法を開発し、これを可能にした。本研究では、本手法によって得られる化学反応経路の全貌に基づいて、分子進化過程の理論予測を行った。今年度は、星間分子であるアセトアルデヒド、ビニルアルコール、および、エチレンオキサイドを含む組成であるC_2H_4OのPESに本手法を応用し、この系の反応経路のネットワークの全貌を解析した。この系のPESには、14個の異性体が存在し、それらは様々な異性化反応経路でお互いに結ばれていた。また、これらの分子の分解反応経路(C_2H_4O→X+Y)も非常に多数求めることができ、それらの逆過程(C_2H_4O←X+Y)を考えることによって、星間空間に存在するどのような化学種(XとY)同士の衝突によって、これらの分子が生成し得るかについて、系統的に明らかにすることができた。
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